2006/04/09(日)08:55
『[新訳]経験経済-脱コモディティ化のマーケティング戦略』B・J・パイン、J・H・ギルモア著を読む
「経験経済」とは、産業経済からサービス経済に続く、
経済システムのことである。
経験に価値をおく経験経済は、
それ以前の経済システムと対比されることで、
その特徴が際立つ。
19ページの一覧がわかりやすいので抜粋してみる。
左から順に、産業経済→サービス経済→経験経済である。
経済的機能・・・製造→提供→演出
売り物の性質・・・形がある→形がない→思い出に残る
重要な特性・・・規格→カスタマイズ→個人的
売り手・・・メーカー→サービス事業者→ステージャー
買い手・・・ユーザー→クライアント→ゲスト
需要の源・・・特徴→便益→感動
ということになる。
ビジネス的にみても、価格競争に陥りやすい製品、
満足されることを追求するサービスに比較して、
個人の感動にコミットできる経験は、
より高い報酬を得ることが可能になる。
そして、この経験というステージングには、4つのEがある。
4つのEとは、
エンターテインメント(娯楽)
エデュケーション(教育)
エスケープ(非日常)
エステティック(美的)の4つの領域である。
企業はこの4つの領域を提供する必要がある。
そして、経験経済についての認識と実践の重要性が、
さまざまな事例とともに紹介され、
この経験価値の提供の重要性は、
どんな企業でも変わらないことが述べられる。
最後のほうでは、
「経験をつくり出すこと自体がマーケティング」なのである、
とまで言っている。
途中の経験経済の次のシステムの、
変革経済-個人の変化を実現するシステムの話も、
興味深く読める。
私のビジネスに即していえば、
いまだサービス経済のものであるが、案件によっては、
経験経済、変革経済のものになっているものも実はある。
このように、自分のビジネスが、
どの辺にあるのかを考えさせられる。
とはいえ、経験経済、変革経済のビジネスは、
それ以前よりも難易度は高いのだ。
この本は、マーケティングに関わる者だけでなく、
ビジネスマン全員が読んでもいい本である。
★5つ ★★★★★
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有限会社リレーションメイク 羽切 徳行