2024/3/10 第1回・ナチュラルベースBBQ その2(仕込み後半~本番)
第1回・ナチュラルベースBBQその2(仕込み後半~本番)前回の続き一夜明けて、プルドポークはテキサスチートに入る段階。(テキサスチート…2~3kg以上の厚みのある肉でBBQをする場合、肉芯温度65℃を超えるあたりから水分の蒸発が活発化し、加熱と気化熱が拮抗してしまい、普通に加熱するだけでは全然温度が上がらなくなる。そのため、アルミホイルやブッチャペーパーで隙間なく肉を包んで蒸発を強制的に止めることで強引に火入れを進めていくというのが極めて重要なテクニックとなるんだが、ドライに仕上がること前提で表面のバークやスモークの香りをつけることに重点を置くのであれば、このテクニックを使わずにひたすら時間をかければ良いが、その場合はプルドポークですら12時間を超える可能性もある。ちなみに、かの有名なBBQ PIT BOYS全盛期は“テキチー”で通じたはずが、今はこの呼称はほとんど用いられず、普通に「ラップ」とか「テキサスクラッチ」と呼ばれる。ちなみに小生はゲーマーなので「チート」という響きの方がやっぱりしっくりくる。いつからクラッチになったんだ馬鹿野郎)ホイルでくるんで約2時間半、午前6時の段階で肉芯温度93℃に到達。食べるのは12:00頃の予定なので、アイスボックスで6時間ほどレストすることになるかな。レストの時間がどれぐらいが最適なのか分からんけど、前回4時間にしたら全く冷めてなくて熱くて触れんかったので今回は6時間。さすがに冷めるやろ( ゚д゚)とりあえず一番大変なプルドポークができたので、ここからは細かい作業。・冷凍してあった謹製BBQソースの解凍と詰替え・コーラスローサラダ仕込み・各種材料のアイスボックスへの積込・各種食器や道具の車への積込っと、おおかた終わってようやく会場へ、というタイミングで気づかなかったものがある。そう、スモークした後にカットしやすくするため半冷凍にしておいたスモークタンを完全に置き去りにしていることに気づき急いで自宅に戻る。会場が近所で良かったぜ・・・結局家で切る暇がなく、会場でスモークチキンの仕込みをしつつ、待ち時間の間にカット。我ながら雑過ぎる。上の方の比較的切れ込みが少ないものがタン元側、下の方の切れ込みが多く赤身が強いのがタン先側。どこからがタン元か、境目はだいぶ難しいけど、実際食べてみるとわかるね。露骨に硬さが変わるでな。いちおう、カットした後に軽く胡麻油と塩胡椒で香味づけ。本当はニンニクネギ薬味でばっちり味付けた方が美味いかもしれんけど、そうするとせっかくのスモーク風味が台無しなんでね。この絵面、画像で改めて見てて思ったんだが、集合体恐怖症の人にとってはホラーでしかないんやろうな( ゚д゚)ごめんね苦手な人。さて、こうしている間に、さりげなく仕込んでおいたスモークチキンがええ感じになっとるげな。人も集まってきたし、いよいよ乾杯といきましょう。その前に、今回のメンバーと会場と経緯についてもう一度おさらいというか備忘録。毎度毎度のBBQにどうでも良い回なんて1つも無いんだが、今回のBBQは一昨年の秋に端を発する今までの縁が結んで結んで1つにつながった、岐阜という地域の縁の最新形となる1つの節目ということで非常に感慨深い。BBQそのものに取り組み始めたのは、BBQ PIT BOYSにハマった10年以上前からのことだが、このコロナ禍においてある意味で色々と吹っ切れて活動本格化したのが4年前で、ブリスケットに挑戦したのもその年。ちなみにフライドビーンズのスモークが美味すぎるということに気づいたのはかれこれ6年前か。小島屋との付き合いもそんなになるとは我ながら驚き。そして、2021年末から2022年にかけてマスタートロイとの邂逅、そしてセミナー参加。温度管理をデジタルに委ねることに確信を抱いてから2回目のブリスケットにて初めて成功するとともに、ブリスケを処理できる程度のサイズの巨大カッティングボードの必要性をいっそう強く感じるようになったのがこの年の秋。ちなみに、夏には父と死別し、この年は自分の身の回りの変化が非常に大きかった年でもあった。そして肝心のカッティングボードだが、父の死後の片付けが落ち着いた9月頃からずっと探してはいたものの、お手頃に手に入れられそうなコネが見つからずそのまま2ヶ月ほど過ぎる。秋のブリスケットBBQににはもう間に合わないかと思った10月末頃、この頃に通い始めた新しいアウトドアショップのYOCABITOにて、スタッフのさかもっちゃんから「揖斐川のコムーネってところで木の端材市をやってるから一度見てみると良い」との情報を得る。藁にもすがる思いで初めてコムーネを訪れたのが、なんと天白区のマスタートロイからオフセットグリルを譲り受けて運搬中の帰り道のこと。今引っ越し中のコムーネだが、当時は揖斐川町北方の方に工房を構えていた同店。いや、店と呼んで良いのかどうか知らんが(笑)。初めて訪れた時には、主犯のあやさん、そして末永さんとの邂逅。その日は前述の通り「端材市」のイベント中で、そろそろ人も途切れてくる頃かというタイミングで、ちょうどご相談することができた。できるだけ安く、それなりに丈夫でデカいカッティングボードができないかどうか相談すると、誂向きの50cm×80cmほどの巨大な一枚板が見つかり、このサイズのまな板加工としては破格の6,000円というコストで引き受けていただけることに。しかも尋常じゃないぐらいアメリカンBBQに興味を持っていただくことができ、何もかもがトントン拍子で決定。ありがたし。自宅でのブリスケパーティには間に合わなかったものの、それに遅れること1週間でカッティングボードの完成。そして、作ったは良いものの、しばらく出番は無いだろうと思いきや、さっそくあやさんの別荘で12月の頭にBBQを披露することに。そこに集まったのは旧春日村を中心とした揖斐川コミュニティの個性的でアクティブな御仁ばかりで、その中にいたのが、個人的に小生の事業に最大の貢献をしてくださっているカーサポートアイの岩井さん。この出会いを起点に、ほぼ月1~月2ぐらいでミーティングする仲になっていくが、そこで話題になったのが、春日村の薬草文化の広告塔となっているという「岐阜コーラ」の話。さっそく春日村にあるカフェまるかるで飲んでみたところ激ウマも良いところで、帰り道にさっそく岐阜市美殿町に拠点を構える、岐阜コーラプロジェクトリーダーのいる店ナチュラルベースを訪問することに。そこで岐阜コーラを購入して以来、店主のおさむ君とはすっかり意気投合しまくってしまい、店のスタッフも含めてBBQをしたいねという結論にたどり着くまでにはそう時間はかからなかった。その後も何度も店に伺ってはBBQトークで盛り上がるものの、休日はレストランもかきいれ時ということでなかなかBBQは実現せず、気づけばもう出会いから1年が経過しようとしていた。その間も順調にBBQは回数を重ね、試行錯誤の末に、クラフトコーラをBBQバーガーの化学反応を検討することに。はからずもサステナビリティに貢献できそうなネタにもなったこいつだが、クラフトコーラBBQにバーガーの反響は予想を越えて芳しく、アイデアと素材を提供し続けてくれたおさむ君には感謝の言葉もない。そういうわけで、何とかしておさむ君にはこの感謝を還元しなければと思い続け、ようやっとスケジュールに都合がついたのがこの3月10日。この時期にしては異例の寒さと強風、前日の雪に見舞われ、嵐のような日ではあったが、このような縁がつながってようやく実現したナチュラルベースBBQは感慨深いどころの騒ぎではない。今回集まったメンバーは少ないながら、なかなかのツワモノばかり。まずはナチュラルベースの店長おさむ氏。そしていつもナチュラルベースで見かけるやすだ君。そして、色々あって昨年末から急激にナチュラルベースと接近しつつある、小生とはかれこれ20年来の縁である盟友smz氏。そして、伊自良は長滝にあるこの会場を使わせてくださっている、「さすてな農園伊自良庵」の松本さん。自然と人の気配が絶妙なバランスで成立しているこの魅力的な場所は、クレソンとホーリーバジルを栽培する畑であるとともに、各種ワークショップやイベントの会場としても普段から使われるのだそうで、なんとも心地よい。そんなこんなで、BBQスタート。奥美濃古地鶏 丸鶏のスモークチキン(前菜)岐阜の宝、奥美濃古地鶏を丸ごとスモーク。これやってる人、きっと県内探してもほとんどおらんのちゃうかな。業者を除けば手に入る店もほとんどないし(岐阜市で2軒だけのはず)。ただ、注文すれば一般人でも誰でも普通に買えるし、グラム150円という、ブランド地鶏にしては破格の安値で入手可能。でも需要が高まって値上げされるの嫌だから教えたくない(笑)。しかしこいつ、いつも思うんやけど、めちゃくちゃ筋肉質で張りが凄すぎて、足とか手羽を縛ろうと思ってもビクともしないし、めちゃくちゃデカいせいで、縛るとグリルに入らなくなるので、こうして渋々寝かせて焼くんだが・・・何度見ても信じられないぐらいセクシー( ゚д゚)何なんやろねこの視覚のマジックは。鶏ってこんなに色気あったっけ?反対側の火のあたり具合が微妙な気がしてひっくり返してみたんだが、超こんがり。肉芯温度も80℃近くまで上がり、しっかり火が通っているので食べごろだ。いただきましょう。まず適当に包丁を入れて、足と手羽をざっくりと切り離す。やっぱり鶏といえば腿。つーか、四つ足系にしてもやっぱり後ろ脚こそ至高よ。筋肉の付き方が違うからな。アミノ酸含有量も保水量も桁違い。遠慮なく手づかみでどうぞスタイルで。いや~ここのところ奥美濃古地鶏続いとるけど、これやっぱ最高じゃん。肉繊維の密度も風味も味の濃さも桁違いよね。ブロイラーで作ったプリプリジューシースモークチキンも良いけど、この歯ごたえと風味には勝てんわ。下手に脂ぎったA5和牛のともバラなんかより遥かに安くて美味いべ。まぁ丸鶏なんで骨がけっこう多くて歩留まり微妙っちゃ微妙なんやけど、それ差し引いてもグラム200円ぐらいじゃないかな。それでこの味はちょっと犯罪的。反則。前菜の時点でプルドポークが霞むからやめてもらいたいもんだわ(自画自賛)っと、ここで今回場所を貸していただいている松本さんから、なんと採れたてのクレソンが提供された!!肉以外にまったくもって無頓着な小生にとっては嬉しいサプライズ・・・・今回の会場である「さすてな農園伊自良庵」ではクレソンとホーリーバジルを栽培されているんだが、ちょうどクレソンがシーズンなのよねえ。いつも肉しか作らないから、こういう清涼感のある素材を投入してもらえるのはありがたくてしかたない。プルドポーク(メイン)&採れたてクレソンまずはメインディッシュのプルドポークを、できたてのプルプル状態でそのまま食べてもらう。長時間低温で燻しまくったスモークとスパイスの入り混じった香ばしさと、ほどける繊維にとろとろコラーゲン、甘い脂。ここに辛みと渋みの絶妙なクレソンが超絶化学反応!やっぱりクセのある素材同士がバチバチしてるのって良いね。不思議とバランスが取れる。あまり日本食的ではないがね。スモークタン焼き肉(メキシコ産)前菜的なボジションで楽しんでもらおうと思ったらすっかり提供が遅くなってしまった。正直なところ肉質が肉質なので(皮とタン下込みとはいえグラム110円の激安タン)ぜんっぜん柔らかくもなければ血抜き微妙でやや血なまぐさいんだが、スモークで無理やりごまかした一品( ゚д゚)。焼肉屋に怒られそう。タン先の方はそうとう硬いので、できるかぎり繊維を断ち切る角度で切れ込みを多めに。それでは、ウォーミングアップが終わったところで、おさむ君のアイデアで大幅に改良されたクラフトコーラBBQバーガーの方を。クラフトコーラBBQクレソンバーガー何を言ってるか分からないと思うが、まぎれもなくコーラバーガー。きっと唯一無二のはず。たぶん。今回はクレソンの清涼感と野趣も入って絶妙なアクセントに。以下、仕様◯全粒粉バンズ(パンシノン)◯合挽きパティ(肉の長良)◯プルドポーク◯特製コーラスローサラダ◯チーズ◯フライドオニオン◯特製BBQソース◯生クレソン(さすてな農園伊自良庵)クレソンを提供してくださった松本さんの図。美味そうに食うなあ。珍しく自分用。いや〜採れたてクレソンが刺激的過ぎ。どうしても全体的に味がまったりしがちなんだが、見事に引き締まるね。やっぱり青物は必須だなあ。しかしこれ良いわ。レタスの10倍ぐらい良い。ちなみにこの写真見せたら、HATのまなや氏には「ブサイク」と一蹴された(笑)たしかに見た目は「美しく」はないな( ゚д゚)追いソースはジャスティス。およそ予定していた品はすべて提供できて、この後はまったりと。ハーフサイズのホットサンドも試食してもらい、BBQそのものは無事にお開き。食後のコーヒータイム。今回はエチオピア ウォルカのアダメマゾリョ(シェルパコーヒーロースターズ)を。ちょっと前にシェルパで飲んだんだが、華やかなのにそれほど酸は明るくなくむしろダークで、ベリーというよりは完熟葡萄を思わせるような果実味と熟成感が持ち味のこいつ。BBQ〆なので、軽いコーヒーより重い方が良いなと思って淹れてみた。キャロットケーキ(TransitCoffee)コーヒーに合わせるは、トランジットのキャロットケーキ。前日から痺れる寒さだったのであえて冷蔵庫に入れず常温で放置しておいたんだが、キンッキンに冷えていて全体的に生地もクリームも固まってしまっている( ゚д゚)なんてこったい( ゚д゚)慌てて日向に放置して少し温めたが、自分の記憶にある同ケーキと比べるとややハードで風味のおとなしい仕上がりであった。本当はもっとスパイシーで、岐阜コーラと超相性良さげな味なんだけどな。しかし皆さん満足していただけたようで何より。いや〜ちょっと準備が突貫工事だったので疲労が半端ないが、とにかく無事終わって良かった。そして帰りの準備中に何と嬉しいサプライズ。さすてな農園の松本さんからプレゼントが。何と、ホーリーバジルの枯れ枝(?)を提供していただけるというのだ。商品としては使えないモノみたいだが、枯れ枝にも関わらず、バニラのような甘い方向と、ハーブらしい清涼感に満ちた不思議な香りの素材。これをぜひ燻製に使ってみてほしいとのこと。松本さん、有難うございます(´;ω;`)こいつマヂで良い匂いするな〜〜一生くんかくんかしていたい。というわけで、そんなに量も無いのでどう使うか、慎重に検討して、近々やってみたい。松本さん本当にありがとうございます。またBBQしましょうb