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LAUNDRY ROOM

所有権確認等請求裁判


★ 私の「ひろしまドッグぱーく  ★

§[所有権確認等請求裁判 判決

  ▼Part1.判決文全文
  ▼Part2.管理人雑感




★所有権確認等請求裁判





★Part1.判決文全文

◆『法的な落としどころ』でたくさんの裁判官を悩ませたこの裁判、
大元のところ(=所有権)では原告の言い分を認めるとの判決。
一見、被告の負けですが、内実、裁判所としては苦肉の策を用いて、
被告である川北さんの心情に即した判断を下したというものでした。

【充分な検証は致しましたが、万一誤字・誤変換がありましたらご容赦下さい】09/08/02 管理人


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/P.1

平成21年7月15日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成20年(ワ)第8896号 所有権確認等請求事件

ロ頭弁論終結 平成21年6月22日

           判      決

      滋賀県高島市今津町酒波字西野1186-2
         原       告  アーク・エンジェルズこと
                     林     俊  彦
         同訴訟代理人弁護士   須  田  政  勝

      大阪府豊中市東豊中町6丁目22番43号
         被       告  ペットショップスタンバイこと
                     川  北  奈 緒 子
         同訴訟代理人弁護士   中  島  光  孝

          主       文
  1 原告が別紙物件目録記載の各犬につき,所有権を有することを確認する。
  2 被告は,原告に対し,別紙物件目録記載の各犬を引き渡せ。
  3 前項の強制執行ができないときは,被告は,原告に対し,執行のできない
   犬1頭について,それぞれ1万円ずつを支払え。
  4 原告のその余の請求を棄却する。
  5 訴訟費用はこれを3分し,その1を原告の,その余を被告の負担とする。

          事実及び理由
第1  請求
 1  主文第1項,第2項同旨
 2  主文第2項の強制執行ができないときは,被告は,原告に対し,執行のでき
   ない犬について,それぞれ別紙物件目録の価格欄記載の金員を支払え。
第2  事案の概要
    本件は,原告が被告に犬を預けたところ,贈与を受けたと主張する被告が犬

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/P.2

   を返還しないとして、犬の所有権確認と、寄託契約または所有権に基づく犬の
   引渡し、さらに犬の引渡しができない場合の代償請求として総計380万円(仮
   処分により引渡済みとなった分を控除すると295万円)の支払を求めた事案
   である。

 1  請求原因
  (1) ドッグプロダクションこと訴外武田竜夫(以下「武田」という。)は、
   別紙物件目録記載1ないし14の犬(以下同目録の番号に従い、「本件1番
   犬」などという。)を所有していた。
  (2) 原告は、平成18年9月30日、武田から、本件1番ないし14番犬の
   贈与を受けた。
  (3) 大阪市(動物管理センター扱い)は、本件15番ないし18番犬を所有
   していた。
  (4) 原告は、同年11月28日と同年12月1日、大阪市から前記犬4頭の
   贈与を受けた。
  (5) 被告は、同年12月16日と17日、原告のために保管する旨を約して、
   別紙目録記載の犬18頭(以下「本件各犬」と総称する。)を受け取った。
   (以下「本件委託契約」という。)
  (6) 原告が、平成18年12月20日、本件各犬の引渡しを求めたところ、
   被告は、原告への返還を拒んだ。
  (7) 本件各犬の価格は、別紙物件目録の価格欄記載のとおりである。
  (8) 被告は、本件各犬について、原告が所有権を取得した事実を争い、また、
   原告が被告に贈与した事実がないのに、これを主張して被告の所有権自体を
   争っているので、原告は、本件各犬について所有権の確認を求める。
  (9) 原告は、被告に対し、選択的に、本件委託契約に基づく返還請求、また
   は所有権に基づく返還請求として、本件各犬の引渡しを求める。
  (10) 前項の犬の引渡しの強制執行が不能となる場合には、代償請求として

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/P.3

   原告は被告に対し、引渡しができない犬について、それぞれ別紙物件目録の
   価格記載の金員の支払いを求める。


2 被告の認否及び主張

  (1) 請求原因(1)ないし(4)の事実は知らない。原告が,本件各犬の所
   有権を武田または大阪市から取得したことは争う。
  (2) 同(5)のうち,被告が,平成18年12月16日と17日に,原告か
   ら本件各犬を受け取ったことは認め,本件寄託契約については否認する。被
   告は,原告から,本件各犬の贈与を受けた。
  (3) 同(6)は認める。
  (4) 同(7)は争う。仮に原告が本件各犬の所有権を取得していたとしても,
   原告はこれを無償で取得しており,市場価格,取引価格は基準とならない。
  (5) 同(8)のうち,被告が,本件各犬について,原告の所有権を争ってい
   ることは認め,その余は争う。
  (6) 同(9)は争う。原告が申し立てた仮処分により,別紙物件目録3,15,
   16,17の4頭は原告に引渡済みであるが,被告はその余の犬を占有し
   ておらず,所有権に基づく請求は失当である。
  (7) 被告は,原告から本件各犬の引渡しを受け,既にこれを里親に出したか,
   出そうとしていたものであり,原告は,無償で譲り受けた大を救助する目的
   で多額の寄付を集めながら,既に安定した生活をしている本件各犬の返還及
   び金員の支払を求めている。原告の請求は権利の濫用にあたり許されない。


第3 裁判所の判断

  1 認定事実
    証拠(甲2ないし6,12,13,15,16,18,乙10ないし15,
   証人竹森,証人林,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認定
   することができる。
  (1) 原告は,動物愛護と動物の飼育管理の指導その他の動物福祉活動を行うこ

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/P.4

   とを目的とする,アーク・エンジェルズという名称の権利能力なき社団の代
   表者である(以下,原告が主宰する団体の活動についても,単に「原告」と
   いう。)。
  (2) 武田は,平成15年4月末ころ,広島市佐伯区湯来町白砂で,訴外山陽工
   営株式会社とともに,「ひろしまドッグぱーく」(以下ドッグぱーく」と
   いう。)なる施設を開設したが,平成17年6月ころ,経営難を理由にこれ
   を閉園した。ドッグぱーくに集められた犬については,遅くとも平成18年
   8月ころから,適切な飼養,管理が行われなくなり,大多数の犬が栄養失調
   状態となり,一部の犬は死亡した。
  (3) 原告は,平成18年9月ころから,ドッグぱ-くの問題に関与するように
   なり,原告のスタッフやボランティアがドッグぱーくの犬を引き取り,里親
   を探す等の活動を開始した。同月30日,武田は,ドッグぱーく内にいる犬
   472頭の所有権を放棄して,無償で原告に譲渡する旨の放棄同意書を作成
   し,原告に交付した。
  (4) 原告は,平成18年11月28日,大阪市動物管理センター所長に犬の譲
   渡願を提出して,本件15番ないし17番犬を譲り受けた。また,同年12
   月1日にも,同様の手続により,本件18番犬も,大阪市から譲り受けた。
  (5) 原告は,当初,平成19年3月末日まで,ドッグぱーくの土地等を利用す
   る予定であったが,里親への委託等が進み,犬の数もある程度減少した平成
   18年12月ころ,ドッグぱーくの土地所有者から,同月末日までに土地を
   明け渡すよう求められ,犬を順次大阪方面に移動する必要が生じた。
  (6) 平成18年12月ころ,以前,訓練のために原告の犬を預かったことのあ
   る被告が,原告に電話をして協力を申し出たため,被告は犬の訓練,美容等
   の仕事をしており,犬を預かるスペースもあることから,原告は一部の犬を
   被告に預けることとした。
  (7)平成18年12月16日,原告のスタッフである藤井一滋(以下「藤井」

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/P.5

   という。)は,本件各犬のうち10頭を,ドッグぱーくで車に積み込み、そ
   の日の夜、被告方に犬を届けた。
  (8〉 同日,藤井が車を運転して広島に戻ることができないため,原告が被告側
   での運搬を打診したところ,被告は,知人の亀山準(旧姓。以下「亀山」と
   いう。)にこれを依頼した。原告が,ボランティアに日当は出せないが,高
   速道路料金とガソリン代は出すとしたところ,被告は自ら亀山に日当を出す
   ことにした。亀山は,同日夜,被告方に赴き,藤井が運転してきた車に乗っ
   て広島に向かい,同月17日午前4時ころ,ドッグぱーくに着いた。原告の
   妻ら数名で,本件各犬のうち7頭を車に積み込み,亀山は,高速道路料金及
   びガソリン代として3万円を受け取って大阪に引き返し,同月17日の昼こ
   ろ,被告方に大を届けた。また,同日,藤井は,本件各犬のうち1頭を,被
   告方に届けた。
  (9) 同月20日,藤井らが被告方に赴き,本件各犬の引渡しを求めたところ,
   被告はこれを拒絶した。平成19年1月26日に原告側の仮処分が執行され
   た時点では,本件3,15,16及び17番の犬が被告方にいるのみで,そ
   の余の犬は,被告方におらず,現在は,被告が別途探した里親またはホスト
   ファミリー方にいるとされる。

  2 争点についての判断
  (1)原告の所有権について
   ア 甲第2号証によれば,武田は,平成18年9月30日,ドッグぱーく内
    にいる犬472頭を原告に譲渡する旨の意思表示をしており,前掲証拠に
    よれば,その後にドッグぱーくに来た犬も一定数あったようであるが,武
    田の意思としては,ドッグぱーくにいる犬を包括的に原告に譲渡する趣旨
    であったと考えられる。
   イ 甲第3号証の1ないし4によれば,原告が、同年12月1日までに,大
    阪市から,本件15番ないし18番の犬を譲り受けたことが認められる。

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/P.6

   ウ 以上によれば,本件各犬を被告に引き渡すまでに,原告が,本件各犬の
    所有権を取得した事実が認められる。
  (2)引渡しの性質について
   ア 平成18年12月16日と17日に,本件各犬が原告から被告に引き渡
    されたことは当事者間に争いがないが,その引渡しが,寄託契約によるも
    のか,贈与契約によるものかが争われており,寄託契約に基づく返還請求
    の関係では,原告が寄託であることに立証責任を負っており,贈与の主張
    は積極否認となるが,所有権の確認請求及び所有権に基づく返還請求の関
    係では,贈与の主張は原告の所有権を喪失させる抗弁となる。
   イ 前掲証拠のうち,原告側のものは(甲15,16,18,証人林),そ
    の際に,「数日だけ預かってもらえないか。」,「預かって頂いて助かりま
    す。なるべく早急に迎えに行きます。」等のやり取りがあったとするのに
    対し,被告側のものでは(乙10,15,16,証人竹森,被告本人),
    「団体譲渡という形でもいいから預かってくれ。」、「川北さんに引き取っ
    てもらって助かる。」等のやり取りがあったとされ,内容的に対立してい
    る。
     しかしながら,前記認定事実及び前掲証拠によれば,事前に,どの犬種
    を何頭譲り受けるかといった交渉が原告と被告との間にあったわけではな
    く,むしろ,ドッグぱーくの敷地を急に明け渡すという原告側の必要に迫
    られ,本件各犬を大阪に送ることになったと解されること,被告が犬を受
    領する際に,どの犬をもらい受けたかについて,格別確認することもせず,
    とりあえず車で運ばれてきた犬を受領していること,原告から被告に犬を
    譲渡する旨の契約書等が作成されていないこと,被告が譲り受け,被告の
    所有となった犬を運ぶのであれば,それを運搬する高速道路斜金やガソリ
    ン代を原告が負担するのは不自然であること,数日後に,原告側か被告方
    に赴き,実際に犬の引渡しを求めていること,被告が,テレビの取材に

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/P.7

    対し,預かったに過ぎない旨の発言をしていること,以上の点が認められ
    るのであって,これらを総合すると,原告が被告に本件各犬を贈与したと
    認めることは困難であり,被告が原告のために保管することを約して,本
    件各犬の引渡しを受けたにすぎないと認めるのが相当である。
   ウ 被告は,原告から本件各犬の引渡しを受ける際に,鑑札や注射済票があ
    る犬についてはこれを受領していることを,贈与があった根拠としている
    が,鑑札等については,単に預ける場合であっても,やはり犬とともに引
    き渡すべきものと考えられるから,この点は理由にならない。
  (3)権利の濫用について
   ア 被告は,原告が,多額の寄付金を集めながら,無償で取得した本件各犬
    について,引渡しと高額の代償請求をするなど,本件訴訟が権利の濫用に
    あたる旨主張する。
   イ しかしながら,原告の経理問題は,本件の争点とは考えられず,それを
    判断すべき資料も提出されていない。法的事実が認められれば,それに応
    じた権利が発生するのであって,代償請求についても,適切に判断すれば
    足りる。このような請求自体が権利の濫用とは認められない。

  3 原告の請求についての判新
  (1)所有権確認について
   ア 前記2によれば,本件各犬については,原告が所有権を取得した事実は
    認められるものの,贈与による所有権喪失は認められず,第三者の即時取
    得等,原告の所有権喪失原因となる事実の主張立証もない。
   イ 被告は原告の所有権を争っており,確認の利益は認められるから,原告
    が,本件各犬について所有権を有することの確認を求める請求は理由があ
    る(主文第1頂)。
  (2)返還請求について
   ア 前記2によれば,原告は,その所有に属する本件各犬を,本件寄託契約

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/P.8

    に基づいて被告に引き渡したことになる。所有権に基づく請求については,
    口頭弁論終結時に,被告が本件各犬を占有していることを原告は証明しな
    ければならないが,本件寄託契約に基づく請求は,預かったものを返還す
    る債務の履行の問題であるから,被告の占有は要件とはならない。
   イ また,本件寄託契約に基づく返還請求権が客観的に履行不能であること
    が確定すれば,損害賠償を求める以外にないと考えられるが,預かった本
    件各犬を返還する債務が,客観的に履行不能に確定したとの主張立証は,
    当事者のいずれからもなされていない。
   ウ よって,被告に対し,本件寄託契約に基づき,本件各犬の引渡しを求め
    る請求は理由がある。(主文第2項)。
  (3)代償請求について
   ア 主文第2項の強制執行が不能となった場合に備えて,原告は代償請求を
    しており,本件各犬の返還が履行不能となった場合の損害賠償額を算定す
    る必要がある。
     原告は,別紙物件目録の価格欄記載の金額が損害であると主張し,その
    根拠として,甲第14号証の「犬のベストカクログ」を提出する。しかし
    ながら,同号証に記載されているのは,健康状態に問題がなく,血統書付
    きの犬について,商業取引を前提とする価格であると解される。
     前掲証拠によれば,本件各犬については,原告自身無償で取得したこと,
    血統書付きではないこと,健康状態に重大な問題がある中で救出されたこ
    と,動物愛護の精神から,里親等に無償で譲渡することが予定されている
    ことなどが認められるのであって,この場合に,前述のような商業取引を
    前提とする価格を基準にすることは相当ではない。
   イ 本件では,甲第14号証以外にはこの点に関する何らの資料も提出され
    ていないが,寄託契約に基づいて引き渡した犬が返還されなければ,損害
    が生じること自体は認められるので,前記指摘した,原告白身無償で取得

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/P.9

    したこと,血統害付きではないこと,健康状態に重大な問題がある中で救
    出されたこと,動物愛護の精神から,里親等に無償で譲渡することが予定
    されていること等の事情を総合し,民事訴訟法248条による裁判所の裁
    量として,主文第2項の執行不能による損害を,犬1頭について1万円と
    定める(主文第3項)。
(4)仮執行宣言について
     本判決が未確定のうちに,動物の引渡しの強制執行を許し,さらにその執
    行不能時に代償請求を許すことは,性質上相当ではないと思料されるので,
    仮執行宣言については付さないこととする。
        大阪地方裁判所第16民事部
            裁判官     谷    有 恍



Part2▼


Part1▲





★Part2.管理人 雑感



※以下、判決文だけでは、どうにもわかりにくいという部分の説明も含め、
管理人の雑感を順次掲載してゆきます。
が、なにぶんにも法については素人ですので、感想文程度に受け止めてください。
何か、間違いにお気づきの方は、ぜひメッセージにてご教示ください。


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9ページ3行目 民事訴訟法248条
第248条(損害額の認定)  損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。




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Part2










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