雉との戦い
このところ、僕の車に小さなひっかき傷みたいなものが大量についていて、草ででもこすったのだろうかと思っていたが、それが日増しに増えていた。 そして、今日、車を駐車場に止めた途端に、「カンカンカンカンカンカン」という音が助手席側のドア付近から響き、びっくりしてまわりこんでみると1羽の雉がバタバタバタバタと飛び去った。雉もあんなに空高く飛ぶのだなあ、と呑気に思ったが、このところの傷は雉のせいだとわかった。車のまわりを確かめてみると、前のバンパーあたりからぐるりと一定の高さから下に無数の傷がついていた。雉が今日のようにつつきまくったに違いない。 なぜ、この雉が僕の車を敵と認識したのかは定かではないが、おそらく毎日のように攻撃していたのだろう。両親によると駐車場横の茂みに巣を作ろうとしているのではないか、ということだ。僕の車は巣と縄張りを侵犯する怪物らしい。雄の雉は勇敢にもこの怪物を撃退しようとしているようだ。雉の都合はそうであっても、愛車を傷だらけにされるのを看過するわけにもいかない。 「2・3回脅かせばいいんじゃない。」と母は簡単に言うが、四六時中見張っているわけにもいかない。どうすりゃいいのか。