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カテゴリ:なんとなく更新
毬藻です。
続きをどうぞ。 * * * そうだ、あれならどうだろう? そのとき、持っていた紙袋の中から、 私は、一袋のサクラの花のお茶をとりだした。 「真冬でも咲くサクラ」の正体である。 数日前、 元気のない私に友人が、 ガラスのコップに一輪のサクラを咲かせてくれたのである。 真冬に咲いたサクラは、 私の心を温めてくれた。 見た目とは打って変わって、 桜餅っぽい味という不思議なお茶であった。 * * * 自分でも怪しいよなぁ・・・と思いつつ、 眠っている少女を起こし、 話しかけてみた。 「何かあったの?」 少女はしばし驚いていたが、少しずつ話し始めた。 彼女が悩んでいるのは学校でのクラスの友人関係であった。 「友人だと思ってたのに・・・」 そんな言葉が続いた。 幸い家庭では 彼女の帰りを待っていてくれる家族がいるようだったので、 少し安心した。 また、彼女は漢字が得意らしく、 窓に薔薇という字も書いて見せてくれた。 漢字検定に向けて頑張っているらしい。 その意外な共通点で会話が繋がり、 二人の緊張をほぐしてくれたようにも思う。 そして、最後に、 真冬に咲くサクラを渡した。 「お家にガラスのコップある? できたらお湯が入れられるやつ。 お家に帰ったら、 これをガラスのコップにいれてお湯をいれてみて? きっと不思議なことが起こるから。 これ一応市販されてるけど、 怪しいと思ったら飲まなくていいから・・・。」 (外で見知らぬ人に物をもらったことはあるけど、 いずれも安心できないですよね。。。) 「あ、ありがとうございます。大丈夫です。 私の中では渡る世間に鬼はないですから。」 心なしか、 彼女は表情は少し緩んでいたように見えた。 ひとりじゃないってことがうまく伝えられただろうか・・・? * * * そうこうしているうちに終着駅まで到着した。 同じ駅で彼女は降りたが、 きっともう会うことはないだろう。 うちに帰った少女が あのサクラを咲かせてくれたらいいなと願い、 私は自分の家族の待つ家へと向かった。 * * * これは、私の体験した実話でありますが、 自分を良く評価してもらいたくて書き記したものではありません。 私の行動が果たして良かったのかも賛否両論あると思います。 ただ、 子供が自らの未来を消してしまう悲しい現実に対して、 大人たちは何かできないだろうか? そんなことを考えました。 私には、 ガラス窓に書いた文字が少女のSOSだったように思えます。 逆に気づかなければ私も話しかけることはなかったと思います。 一呼吸して周りを見たら案外 SOSが見えてくるかも・・・しれません。 これ以上、悲しいニュースが起こらないことを切に願います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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