7月1日(土)深夜の、BS-2での放送を見逃してしまった今年の「ワルトビューネ」。
今日のFMでの放送を、楽しみにしておりました。
今年のテーマは、「アラビアン・ナイト」。
リムスキー・コルサコフ「シェエラザード」、ニルセン「アラジン」、グリーグ「ペール・ギュント」
など、盛りだくさん。
そんな中でも、わたくしのいちばんの注目は、この日のソリスト、ジャニーヌ・ヤンセン。
確か、昨年はN響とも共演している、オランダ出身の美貌ヴァイオリニストで、使用している
楽器は1727年製のストラッド「クレモナ」。楽器の名前を聞いただけでも、深く美しい音色に
思いを馳せることができるのでございます。
ベルリン・フィルの精鋭達と、熱狂の聴衆の前で、どんな演奏をしてくれるか・・。
1曲目、マスネ「タイスの瞑想曲」。
耳を澄ませないと聴こえないような超ピアニッシモで始まりました。
ミュートを使って演奏しているのでしょうか。どうしてこんな小さく、静かに伸び伸びした音を
出すことができるのでしょう。移弦をしても途切れることのない美しい響き、夢見るような
旋律を、更に昇ってゆく見事な曲想の導き方。オケもスローテンポにうまくうまく合わせて
たゆたうが如く歌います。
ちょっと線が細い気がしましたが、野外で弾いていることも慮ったら十分の力量。
2曲目、サン・サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」。
おお、情熱と抑制をうまく駆使しながら進む彼女!高音の抜けるような音は、聴衆も一緒に
飛んで行ってしまいそうです。
ハイテンポでのヴィルトゥオーゾ的な運指の部分も、決して流れることなく、確実にこなし、
この、19世紀の名ヴァイオリニストサラ・サーテに捧げられた難曲を、易々と弾き通しました。
演奏後、ブラヴォーと口笛の嵐!嵐!
うーん!お見事!ジャニーヌ・ヤンセン。美貌だけでなく、実力も大したものでした。
大きなコンクールで名を売ってのし上がってくる演奏家は星の数ほどいますが、彼女のように
特にそういう経歴もなく、いきなりコンセルトヘボウと共演してしまうような逸材は珍しい。
わかりやすく、日本人でいえば、五嶋みどりちゃんのようです。
こういう人は、大成します。ヴァイオリニストだけに捕らわれず、「音楽家」としての腕を、是非、
世界で発揮していってほしいですね。この若さで、既に音楽祭も主催しているのだそう。
期待したいです。
さて、ワルトビューネ。きっと例年に倣えば、BS-2でこの先、必ず再放送があるはず。
今度はよおーく番組表をチェックしていて、録画してでも見なくちゃ。
ジャニーヌさんの当日の衣装を見るのも楽しみです。