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テーマ:好きなクラシック(2326)
カテゴリ:楽しむは音
今日は、彼のヴァイオリン・ソナタ集を聴いています。 ヴァイオリン・ソナタ第1番Sz.75 ヴァイオリン・ソナタ第2番Sz.76 無伴奏ヴァイオリンソナタSz.117 クリスティアン・テツラフのヴァイオリン、レイフ・オヴェ・アンスネスのピアノで。 全般的に、東欧諸国の民族性が強いバルトークの音楽。 でも、このソナタ集はちょっと毛色が違います。 それは、どこまでも内面へ内面へと向かう世界。 自分との対話。葛藤。あるいは邂逅。 過去のあやまちへの懺悔。残した記憶への苦悩。 ゼイサク相容れない物事への苛立ち。 抜け出せない漆黒の闇の中で、なんとか光を見つけようと、もがく仕種の愚かしさ。 そうした自分を見つめる、もうひとりの自分。 そんな禍々しいまでの旋律の連続、全曲をまともに聴くには、かなりの忍耐が必要です。 できれば、耳を塞いで、目を背けて通り過ぎたい・・。 人生にも、同じような瞬間があるはず。 良かれと思って差し出した掌(たなごころ)を、剣(つるぎ)のような言葉ではねのけられ、 まるで場違いだったことに気づく瞬間が。 疲弊し、傷ついた心が必要なものは、塩分なのか糖分なのか、それさえもわからない瞬間が。 でも、それでも、愛を持って接してゆこうと、高潔な精神で歩んでゆこうと、清濁併せ呑む瞬間が。 「だからこそ、耳を塞いではいけない。目を背けてはいけない。」 全身全霊を傾けて、楽器を鳴らすテツラフとアンスネスは、そう言っているようです。 このふたりによる作品集は、このような深層心理の世界をも想起させてくれる好演。 彷徨えるあなたの心にも、おすすめです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 25, 2008 05:51:53 PM
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