有朋自遠方来、不亦楽乎!

2010/12/23(木)01:10

感想『風の歌を聴け』

書評、感想(70)

村上春樹著『風の歌を聴け』を読了。村上春樹のデビュー作。 内容は『ノルウェイの森』のその後の僕、荒削りという感じがした。 大学に通う主人公の僕は、長期休暇中?それとも授業に出ずに帰って来ているのか、その点は不明だが、(ただテストになるので帰るという設定になっているので、後者の可能性が強い)地元に帰って、鼠と呼ばれる同世代の人間と仲良くなり、ジェイズバーの常連になる。その時期の回想を交えながら語られる一連の物語。 ある文学の講義を取っていて、その人が春樹を非常に推していて、その勧め方も心酔というものではなく、冷静によいと思える勧めかたをされていた。 「『ノルウェイの森』を初読したとき、なんだこの作品はと思い、この人は合わないのだろうと思ってその後読まなくなった。」 という切り出しかたも共感を覚えた。 そこで、代表作として、前期3部作『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』そして、それに収まり切れなかった『ダンス・ダンス・ダンス』、その後のまとまりとして『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』と紹介されていた。  『ノルウェイの森』は「再生のない物語」だな~と感じ、あまり好きになれなかった。しかし、一冊で作家を毛嫌いするのもどうだろう、と思って、失敗しても時間を食われない。短篇『アフターダーク』に手を出してみた。  正直、この時始めてこの作家はおもしろいと感じた。暗くなった後の都市の闇、昼の世界にはない人間の闇について巧みに表現されている、そう感じた。  なので売れっ子であるし、一応日本人である上は読んでおこう、そう決めた。しかも作品はノルウェイの森のようなものばかりではないようだから。 『風の歌を聴け』は文学を創造する側に立つという意思表明のように思えた。 その面で宣言文的な小説に感じられた。 今のところ『1973年のピンボール』を読み終わり、『羊をめぐる冒険』を読んでいる所だ。 また時間のある時に感想を記してゆく。 【中古本】 風の歌を聴け (講談社文庫)

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