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偶然作
野寺長依止、田家或往還。 老農開古地、夕鳥入寒山。 書劍身同廢、煙霞吏共■(門のなかに月。カン)。 豈能將白髪、扶杖出人間。 【韻字】還・山・■(カン)・間(平声、刪韻)。 【訓読文】 偶然に作る。 野寺長く依り止まり、田家或いは往還す。 老農古地を開き、夕鳥寒山に入る。 書剣身同じく廃(すた)り、煙霞吏共に閑たり。 豈に能く白髪を将(も)つて、杖に扶(フ)して人間に出でんや。 【注】 ○偶然 たまたま。 ○野寺 野中の寺。 ○依止 たよってとどまる。寄宿する。 ○田家 いなかの家。農家。 ○老農 年取った農夫。 ○書剣 むかしの文人の常に携帯した書物と剣。学問と武芸。 ○煙霞 もやとかすみ。山や川の美しい景色。 ○扶杖 杖にすがる。 ○将 ……で。 ○人間 世間。よのなか。 【訳】 たまたまできた詩。 時には野中の寺に長く逗留し、時には農家と行き来する。 百姓のじいさんは昔からある土地を開墾し、夕暮れの鳥は寒々しい山のねぐらへ帰って行く。 書物も剣も我が身も田舎暮らしで、すっかりすたれ、川のもやも山の霞も我が役職も、ともに相変わらずひっそりしたもので変化もない。 いまさらどうして、この老いぼれが、こんな白髪頭で、杖にすがって、よのなかに出て生き恥をさらせようか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 13, 2005 07:22:51 PM
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