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趣味の漢詩と日本文学

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September 13, 2005
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偶然作

野寺長依止、田家或往還。
老農開古地、夕鳥入寒山。
書劍身同廢、煙霞吏共■(門のなかに月。カン)。
豈能將白髪、扶杖出人間。
【韻字】還・山・■(カン)・間(平声、刪韻)。
【訓読文】
偶然に作る。
野寺長く依り止まり、田家或いは往還す。
老農古地を開き、夕鳥寒山に入る。
書剣身同じく廃(すた)り、煙霞吏共に閑たり。
豈に能く白髪を将(も)つて、杖に扶(フ)して人間に出でんや。
【注】
○偶然 たまたま。
○野寺 野中の寺。
○依止 たよってとどまる。寄宿する。
○田家 いなかの家。農家。
○老農 年取った農夫。
○書剣 むかしの文人の常に携帯した書物と剣。学問と武芸。
○煙霞 もやとかすみ。山や川の美しい景色。
○扶杖 杖にすがる。
○将 ……で。
○人間 世間。よのなか。
【訳】
たまたまできた詩。
時には野中の寺に長く逗留し、時には農家と行き来する。
百姓のじいさんは昔からある土地を開墾し、夕暮れの鳥は寒々しい山のねぐらへ帰って行く。
書物も剣も我が身も田舎暮らしで、すっかりすたれ、川のもやも山の霞も我が役職も、ともに相変わらずひっそりしたもので変化もない。
いまさらどうして、この老いぼれが、こんな白髪頭で、杖にすがって、よのなかに出て生き恥をさらせようか。





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Last updated  September 13, 2005 07:22:51 PM
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