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趣味の漢詩と日本文学

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December 15, 2009
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【本文】三十日、雨風ふかず。海賊は夜ありきせざなりと聞きて、夜中ばかりに船を出して阿波のみとを渡る。
【訳】正月三十日、きょうは雨も風も吹かない。海賊は夜は海上に出没しないという話だと聞いて、夜中ごろに船を出して阿波の海峡を渡る。

【本文】夜中なれば西ひんがしも見えず、男女辛く神佛を祈りてこのみとを渡りぬ。
【訳】夜中であるから西も東も見えない。男女ともに神仏に祈りを捧げてこの海峡を渡る。

【本文】寅卯の時ばかりに、ぬ島といふ所を過ぎてたな川といふ所を渡る。
【訳】午前五時ごろに、ぬ島という所を通過してたな川という所を渡る。

【本文】からく急ぎて和泉の灘といふ所に至りぬ。今日海に浪に似たる物なし。神佛の惠蒙ぶれるに似たり。
【訳】ひどく急いで和泉の灘という所に着いた。今日は海に波に似ているものも無く海面がとても穏やかだ。神仏のご加護をいただいているようである。

【本文】けふ船に乘りし日より數ふれば、みそかあまり九日になりにけり。
【訳】今日で船に乗った日から数えると、三十日と九日にもなってしまった。

【本文】今は和泉の國に來ぬれば、海賊ものならず。
【訳】現在は和泉の国にやって来たので、もう海賊もへっちゃらだ。





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Last updated  December 15, 2009 06:42:28 PM
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