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とんぼ玉工房「MASUMI」ますみのとんぼ玉日記

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2005年11月24日
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けれども、どちらにしても、この家には、あと少しで福の神がやってくるのです。それは変わりません。
男と嫁御と貧乏神の三人は、どうしたら、福の神に帰ってもらえるかと、あれこれと相談しました。
その時、思いついたように、突然貧乏神が嫁御に言いました。
「そうじゃ、頼む。わしに餅を食わせてくれ。そうすりゃあ、福の神なんぞやっつけてやる!」
早速、貧乏神は、餅だけでなくお酒までご馳走になり、さっきまでの弱々しさは何処へやら、元気いっぱい、上機嫌になりました。
「わっはっは! いつでも来い! 受けて立つぞ、福の神!」

やがて、夜も更けてきました。
ゴオーン……ゴオーン……
除夜の鐘が鳴り始めました。
と、その時です。
トントン、トントン
誰かが戸を叩いています。
三人は、はっとしました。
「福の神め、とうとう来おったか!」
貧乏神は、キッと、音のする戸をにらみました。
がらりと戸を開けて、にこにこ顔で入ってきたのは、やっぱり福の神でした。
「わっはっは……。やあ~、お待たせ、お待たせ。わしじゃよ、福の神じゃよ!」
その大きな体格、恰幅のいい身体は、まさに幸せを呼ぶ福の神。大きな袋を担いでいます。
貧乏神とは正反対の外見でした。
にこにこ顔で夫婦を見た福の神は、その横に貧乏神がいたのに気がつきました。
「お前は貧乏神だな! まだこの家にいるのか。さっさと出て行け!!」
さっきのにこにこ顔とは一変し、福の神は怖い顔で貧乏神に怒鳴りました。
ところが、貧乏神も負けてはいません。
負けじと怖い顔で、福の神をにらみました。
「なんだと~!? お前こそ出て行け!! ここはわしの家じゃ!!」
「ふん、出て行かぬなら、力づくでつまみだしてやるわ!!」
「このっ!! 放せっ!!」
「お前なんぞ、貧乏しかもたらさぬくせに、大きな顔をするでない!!」
さあ、大変です。二人の神様の取っ組み合いが始まってしまいました。
何とか穏便にと思っていたのに、そうはいかなかったようです。
慌てた夫婦は、何とか二人の神様の戦いを止めに入りました。
「お、落ち着きなされ!」
しかし、こうなっては、二人の神様は、もう後には引けません。
しかし、やはり体格が違いすぎました。
大きな身体の福の神は、ひょろひょろで小さい貧乏神をひょいとつかみ上げて、外に放り出そうとしました。
さすがは福の神。圧倒的な強さです。
貧乏神が危ない!
慌てて止めていた夫婦は、貧乏神に加勢し出したのです。
「やめろ!! 貧乏神を放せ!!」
「!?」
「貧乏神!! 負けるな!! わしらがついてるでな!!」
夫婦まで一緒になって、貧乏神を応援しました。
三人にかかられては、いくら強い福の神とはいえ、かないませんでした。
とうとう、逆に、福の神が追い出されてしまいました。

福の神は、驚いたのなんのってありません。
今まで、貧乏神ではなく、福の神を追い出す家なんて、遭遇したことがなかったのです。
「はぁ……!? わし……わしが福の神だったよな? わしが福の神なのは間違いないが……なんで中にいるのが貧乏神? だったらどうして? いったいこの家は何なのだ?」
福の神は、わけがわからず納得できない様子で、首をかしげなから、とぼとぼ帰っていきました。

「うわ~い!! ばんざーい!! 福の神を追い払ったぞ!!」
これで、この家にずっと居られるのですから、貧乏神は、飛び上がって喜びました。
「良かっただなあ、貧乏神!」
夫婦もまた、手を叩いて、喜びました。

さて、一夜明けて、めでたいお正月。
ほんの少しではありますが、餅も魚も、お酒もあります。
決して豪華ではありませんが、三人は、仲良くお正月を祝いました。
あんなに泣いていた貧乏神も、今はにこにこです。

それからは、この夫婦の家は、それほどお金持ちにはなりませんでしたが、仲良く幸せに暮らしたそうです。
さて、あの痩せっぽちの貧乏神はどうしたかというと、今でも、この家の天井裏に住んでいるそうです。
もちろん、夫婦を見守りながら……。

               〈終わり〉

いかがでしょうか? いいお話でしょう?(⌒-⌒)
はじめは、「普通、福の神を追い出すか?」と思ったのですが……。
このお話の男のように、働いても働いても、貧乏から抜け出せなかった昔の人は、「いっそ、貧乏神と手を組んでしまおう」と、そういう内容の昔話をたくさん語ってきたらしいのです。\(◎o◎)/!
大抵、大晦日の晩に、福の神がやってきて貧乏神が、出て行くというしきたり?のようなことがあり、その福の神を追い出すのですから、すごいことですよね。(これも、わたしならやりませんね。(^_^;))
このお話は、最後、貧乏神と夫婦が、幸せそうに笑っています。ここからあの格言「笑う角には福来たる」「笑って損した者はなし」が出てきて、「笑い」を大切にしたのです。
また、「本当の幸せとは何なのか?」ということを、考えされられるのですね。
おもしろいことに、このお話の別名は「福の神になった貧乏神」なのです。
案外、この別名からも、このお話の意味が分かる気がしますね。
Yahooでも、やはりたくさん出てきた「貧乏神と福の神」ですが、びっくりしたのが、なんと、同じタイトルでも、「貧乏神と福の神」は、話の内容がたくさんあるということです。まあ、昔話はそんなところが多いらしいですが……。(^_^;)
「まんが日本昔ばなし」の「貧乏神と福の神」と同じ話の筋の内容を紹介しているサイトは、こちらです。↓

貧乏神と福の神
http://members.aol.com/michinos/essayNo4.html

また、一度目の、「大沼池の黒龍 ~黒姫伝説~」についても、今回、Yahooからの検索結果のサイトが出ました。こちらも、わたしが過去blogにした話の内容は、ハッピーエンドでしたが、実は黒姫が龍にされてしまう悲惨なアンハッピーエンドがあるようです。\(◎o◎)/!(@_@;)
こちらも、他にもたくさんあります。↓

黒姫伝説
http://www2.plala.or.jp/kurohime/densetsu.htm
黒姫伝説
http://www.janis.or.jp/users/kouriki/kurohimedensetu.htm

また、黒姫伝説のblogは11月でもけっこう前なので、過去blogも上げておきますね~。ご確認ください。(≧▽≦)

過去blog
大沼池の黒龍 ~黒姫伝説~(前編)  「まんが日本昔ばなし・1」
http://plaza.rakuten.co.jp/masumitonbodiary/diary/200511030000/
大沼池の黒龍 ~黒姫伝説~(後編)  「まんが日本昔ばなし・1」
http://plaza.rakuten.co.jp/masumitonbodiary/diary/200511030001/





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最終更新日  2005年11月25日 00時41分23秒
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