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マックス爺のエッセイ風日記

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2008.07.22
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マラソン沖縄本島縦断のスタート足跡

 Hさんを待つ間、私はホテルの前で沖縄の熱風に身を曝していた。仙台空港で2時間。那覇への機内で約3時間。そしてモノレールの車内とホテルでも、ずっと涼しい風を浴び続けていた私の体は冷え切っていたからだ。これから始める沖縄本島縦断の旅。沖縄の走友が「真夏に走るのは自殺行為だ」と真剣に警告してくれた、体感温度40度にも感じると言う「熱い道」を走り出す前に、少しでも体を慣らしておく必要がある。3年間沖縄に住み、この島の暑さは嫌と言うほど知っている積りだが、果たして体がどれだけ覚えているかどうか。

 Hさんの車は約束の時間を15分過ぎてようやくホテルの前に着いた。彼に会うのは昨年暮れのNAHAマラソン以来。「国際通りが混んでいて、安里から15分かかりましたよ」。いつも通りの人懐こい声。「で、スタートはどこにしますか」。「摩文仁お願いします」。彼の質問に私はそう答えた。

 先日彼に電話した際は、スタート地点を喜屋武(きゃん)岬にしたいとお願いしていた。本島南端の喜屋武岬から北端の辺戸岬を目指すのはシンプルな考え方だ。だがその後考えを変えた。沖縄戦の激戦地だった喜屋武岬にはきっと何もないはず。その点観光客が多い摩文仁平和祈念公園ならトイレも売店もあるから、スタート前に水分補給も出来る。それにそこはNAHAマラソンの中間地点で、これまで10回も参加してる私は那覇までの距離感が掴めると思い直したのだった。

 Hさんは私をスタート地点まで送った後、地域の夏祭りの実行委員会へ行くとのこと。平成元年に沖縄に赴任し、当時職場の走ろう会の世話人だった彼とはもう20年以上の付き合いになる。その走ろう会も最近は低調とのこと。忙しい彼は私の3日間の走り旅のことを心配しながらも、摩文仁平和祈念公園から引き返して行った。さらば友よ。君の心からの警告と心配はきっと忘れないよ。

 トイレを済ませ、ガジュマルの木陰で軽く体を動かした後、私は第1歩を踏み出した。夕方の4時半。これから長い長い旅が始まる。太陽はまだ高いが暑さはさほど感じない。きっと空調が効いた車に乗っていたせいだろう。リュックを背負わない今日だけはランパン、ランシャツ姿にした。せめて初日くらいは軽やかに走りたい。いよいよ公園の裏門から国道331号線へ出る。

 だが何かがおかしい。汗も出ないし、道路の様子がどうも変なのだ。理由は直ぐに分かった。これまでここを走ったのは全てNAHAマラソンの時。走り易かったのは交通規制をしていて、広い車道を走っていたためだ。それが今回は狭くて凸凹のある歩道を走るのだから違和感があるのが当たり前だった。間もなく紫外線の害を防ぐために塗った日焼け止めの下から、じっくり汗が噴出して来た。これで一安心。発汗作用が正常じゃないと、熱中症に罹り体温の調節が困難になるからだ。喜屋武岬の遥か彼方に、真っ青な東シナ海が静かに身を横たえていた。<続く>





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Last updated  2008.07.23 04:08:21
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