カテゴリ:ウルトラマラソン(未)完走記
< 田圃の中の一本道とエード車 >
吉田川の小さな橋を渡る。私のインソールを作ってくれた義肢製作所は、その山奥にあると聞いた。もし再度作ってもらうとなれば、車のない私には大変な苦労になる。間もなく大衡村。大柳で国道4号線に別れ、国道457号線(羽後街道)へ入る。いつもならこの分岐点にいるエード車がいない。スタートしてから4時間以上経ち、30km近く走ったはず。2時に朝食を摂ったので、そろそろエネルギーを補充する必要がある。 道路の右手にあるコンビニに入り、先ずトイレを済ませ、ペットボトルに水を補給。ここで買ったのはお握り。早速店頭に座って食べる。その時背の高いランナーが前方に走り去る姿が見えた。若い人のようだ。きっと仙台明走会の若者だろう。そしてその後から男女の2人連れ。思わず声を掛けたが、離れていたため聞こえなかったようだ。大至急お握りを食べて後を追ったが私のスピードではとても追い着かない。 ここ大衡村の工業団地には、自動車工業関連の工場が愛知県から移転して来るとか。きっと静かな農村地帯もこれから大きく様変わりするのだろう。沓掛川の小さな橋を渡り、坂道を登ると色麻町。ここには自衛隊の王城寺原演習場があり、昨年までは沖縄在留の米軍が訓練をしていた。その空砲の音が今日は聞こえて来ない。 自販機に寄りミネラルウォーターを買う。ここで小休止。これまでのペットボトルには、アスリートソルトとヴァーム粉末を入れ、ミネラルウォーターには塩を混入。2本のボトルを手に持って走るのは邪魔くさいのだが、間もなく左折して加美町方面に向かうと、コンビにはおろか自販機のない田圃の中の一本道が8kmほど続く。そこが例年暑さと渇水に苦しむ場所なのだ。 間もなく羽後街道を左折し、直ぐに加美広域農道へと右折。いよいよ一本道の始まりだ。例年太陽熱と戦うこの道が、今日は低温の曇り空でとても助かる。それに疲れや足の痛みもさほど感じないのが嬉しい。誰かが後ろから追って来たようだ。きっとY田さんのはず。気にせずに前へ前へと進む。田圃では穂が出始めた稲もあるようだ。今年の稲の出来はどうなのだろう。 やがて前方に車。M仙人のエード車だ。だが手を振ってる人がもう一人。近づくとM井さんだった。「どうしたの?」と尋ねると、「急遽撮影班になりました」と彼。顔色がとても青く、調子が悪そう。やはり風邪で体調が優れずにエードを手伝うことにした由。その彼曰く。「ミスターXにシューズのことを話しましたよ」。あれまあ、当の本人が言う前に話してくれたとは。これも走友としての心配の表れだと解釈。インソールの帰還がいよいよ現実のものになるか。 M仙人お手製のキュウリの一夜漬けをいただく。冷えたトマトも美味しい。ランナーが欲する食べ物を提供してくれるのも、彼自身がランナーで何を食べたいか熟知しているせいだ。ここで追い着いたY田さんに、キュウリの半分を手渡す。朝スタート直後に寄ったコンビニでは牛丼を食べたと彼。やはりランナーは食べないと走れない宿命なのだ。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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