カテゴリ:人生論
10日ほど前にアカデミー賞の発表があった。今回は例年以上に注目されることがあった。共に受賞の有力候補と目されたキャスリン・ビグロー監督とジェームズ・キャメロン監督が元夫婦だったからだ。結果は元妻のキャスリンが作品賞や監督賞など9部門中6部門で受賞。元夫のジェームズは3部門の受賞に止まり、元妻の圧勝に終わった。
注目度が高かったのはむしろジェームズの方だったかも知れない。何故なら彼が製作した話題の3D映画「アバター」は、興行収入ランキングの堂々1位だったからだ。一方キャスリンの作品はイラクにおける米軍爆弾処理班を描いた戦争アクションとのこと。 キャスリンはコロンビア大学芸術大学院で映画理論や映画批評を専攻したエリート。これに対してジェームズはカリフォルニア州立大で海洋生物学と物理学を学び、後に英文学に転向した。大学卒業後はトラックの運転手などをしながらも、映画製作への夢を捨てなかったとか。 この2人が夫婦だったのは僅か3年間だけ。ジェームズは3回離婚を繰り返し、目下4度目の結婚生活のようだ。女性初の監督賞を受賞した元妻を、元夫は心から祝福したそうだ。男と女が出会って一緒に暮らし、やがて破綻の後の別れ。彼らが作った映画もさることながら、彼らの人生そのものがかなりドラマチックに見える。 人生のドラマで思い出すのが2人の後輩。1人はアフリカから留学した黒人と結婚してアフリカへ渡り、もう1人は妻子ある男性の子を身ごもって、シングルマザーになる道を選んだ。2人とも勇気ある選択をし苦労の連続だったと思うが、幸せに暮らしていることを願っている。 ある年の正月、妻が1枚の年賀状を私に見せた。「干支」の赤いスタンプが押してあるだけで、何のメッセージもない年賀状。差出人は妻の高校時代の親友だった。10年ほど前に彼女の夫が病気で倒れたことは知っていたが、医療費が嵩み貯金が底をついたのだろう。夫君が元気で商売が繁盛していた時は、パリやローマへ遊びに行った話を何度か聞いたものだ。若い頃アン・ルイスに似た美人だった彼女が、まさか40年後に生活保護を申請する身になるとは。 ある時、妻は別のクラスメートの自宅に招かれた。彼女の夫は元銀行員で脱サラ後金融業を開業し、今はパチンコ店を幾つか経営している。家はカラオケルームもある豪邸だったっと妻。だが、友人は膝を痛めて車椅子でしか移動出来ないとも。若い頃から良妻賢母の印象が強かった彼女が、今は車椅子生活を余儀なくされているとは。 方やお金に困窮している友。方やお金には不自由しないけど、健康に不安がある友。男と女の巡り会いは実に不思議な出来事だし、人生とは時に残酷なもの。我が家は経済的な余裕はないけれど、夫婦揃って健康に過ごしている。これで案外幸せなのかも知れないと、最近は考えるようになった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[人生論] カテゴリの最新記事
|
|