テーマ:マラソンに挑戦(5666)
カテゴリ:ウルトラマラソン(未)完走記
≪ 幾つかの奇跡 ≫
この調子じゃフルマラソンはとても無理だ。実はちょうど2週間後に福島県の「いわきサンシャインマラソン」に出ることにしていた。大きな震災を受けたにも関わらず、1度も休まなかった大会だ。いわき市の復興ぶりと自分の体調の復調を確かめるためにも何とか行きたかったレースなのだが。足を止めてポシェットから塩が入った小袋を出し、塩を舐める。 両膝の痙攣は練習不足と筋力の低下のためだと思う。まさかこんなことで痙攣が治まるかは分からないが、念のためだ。それで走ってみてビックリ。何とゆっくりなら走れるのだ。いや~。こんな奇跡があるだろうか。やはり暑さで大量の汗をかき、ミネラル分を失ったことも関係していたようだ。江戸川清掃工場付近で、歩いている青年に出会う。不思議なことにこの青年は、私達のゴールを知っていると言う。 その青年を後にしたが、新たな問題が起きた。ペットボトルの水がとうとう切れてしまったのだ。少しなら走れるだろうが、ゴールまではとても無理そう。それに急に気温が下がった感じがする。脱いでいた手袋をはめ、ウインドブレーカーを着た。これで暖かさは戻った。後は喉の渇きだけ。喉がカラカラになった頃、何と目の前に自販機があることに気づいた。 これが2つ目の奇跡。多分長いサイクリングロードでも唯一の自販機だろう。スポーツドリンクを買ってゴクゴク飲み、塩を舐め、お菓子を食べた。本当はカロリーメートやASでもらったキンカンもあったのに、全くそのことに気づいていなかった。それほど思考力が低下していたのだろう。通りかかったK井さんが、「痙攣ならたくさん飲んだ方が良いですよ」と言ってゆっくり走って行った。 先刻の青年もゆっくり走って行った。彼の話だとゴールまでは5km。その青年の後を追って走る。今井の交通公園を通らず川沿いを進んだため400mほど距離が増えたが、橋は分かり易かった。青年を抜かし、K井さんに追い着き、ゴールへの曲がり角を聞く。その後出会った婦人に浦安橋の位置を聞いた。そこから右折する大事なポイントなのだ。少し先の青いアーチ型の橋がそれとのこと。 時々家陰に入って見えなくなる橋。そんな時はとても不安。ようやく目的の橋に辿り着き、薄暗いガードの下を潜る。そこから狭い歩道を右折。暫く直進すると高架がなくなり道が広くなった。後は最後の目印の寿司屋を探すこと。そこから左折するとゴールの「湯処葛西」まで真っすぐらしい。ところがその寿司屋がない。広い道の向こう側に渡って人に聞くと、来過ぎとか。再び横断歩道を渡る。 道の向こうで手招きをしていたK井さんにお礼を言って走り出す。私が先行し、彼が信号で追い着くパターンが何度か続いた。地下鉄東西線の位置も彼に教わった。彼は歩き出した。私は走ったが、速度はさほど変わらない。もう限界なのだが、それでも走ろうとする気持ちが最後まで残っていた。奇跡と呼ぶべきか、それとも長年の経験の為せる業か。 スーパー銭湯の看板が見えた。ついにゴールだ。駐車場の左奥へ進むと、雲峰師匠、S木さん、S原パパの姿が見えた。時刻は4時11分。スタートしてから6時間41分で44.2kmの長いマラニックがとうとう終わった。自分でも最後まで良く走れたと思う。一昨年9月の「秋田内陸」で途中リタイヤして以来のレース。その後2度に亘る不整脈手術に耐え、良くここまで復活したものだ。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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