マックス爺のエッセイ風日記

2013/12/21(土)06:00

サヨナラ2013年♪(3)

芸術論(165)

≪ 美術館・博物館編 ≫  自分の印象では、あまり今年は美術館や博物館を訪れたように感じなかったのだが、ノートに書き留めたメモなどを見るとそうでもない。マラソンの遠征のついでや、旅行の際に訪れた個所が結構多かったのだ。その足跡を振り返ってみたい。  若冲の白象  3月の「若冲が来てくれました」は、仙台市博物館の特別展。伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)は江戸時代の画家で、同時代の他の画家とは一風変わった視点と感覚を備えていたようだ。特に有名なのは白象をモデルにした絵だが、近代的な彼の美的センスに驚かされた。  実習作品  5月、近所の「縄文の森広場」を訪れ、県内の遺跡発掘調査に関する企画展を観覧。名前の通り縄文時代の遺跡の上に建てられ、竪穴式住居3棟が再現されている。また小学校や中学校の生徒を対象とした学習の場としても活用され、土器や装身具の作製、火のおこし方などを体験出来る小さな博物館だ。  支倉常長像(国宝)  6月、仙台市博物館で開催の「仙台藩主勢ぞろい」を鑑賞。仙台藩主伊達家の歴代藩主に関する貴重な史料が中心の展示で、中には藩主自らが描いた絵や書もあった。支倉常長は藩祖伊達政宗の命を受けて、スペインやローマに赴いた遣欧使節団の長で、ヨーロッパから持ち帰った品の多くが国宝に指定されている。このうち冒頭の画像など3点が、今年「世界記憶遺産」として登録された。  高楼の前で  7月、旅の途中に青森県の三内丸山遺跡及び「まほろばパーク」(縄文時遊館)を訪問。ここは国内最大の縄文遺跡だが、博物館も含めて全て無料で観覧出来る。長さが30mを越えるログハウスや栗の丸太で作った高楼などの大型建築物や、竪穴式住居が8棟ほど再現されている。ちょうど発掘中の現場も見学し、博物館では数多くの優れた土偶、石器、土器などを観た。  丸墓山古墳  7月、埼玉県行田市のさきたま古墳群を訪問。生憎「さきたま風土記の丘博物館」は休館中だったが、国宝の金象嵌鉄剣が出土した稲荷山古墳や映画「のぼうの城」に登場した丸墓山古墳など10基を越える古墳群を見学することが出来て、大満足だった。  シャガールの絵  9月、宮城県美術館で開催された「シャガール展」を観覧。シャガールはユダヤ人でロシアに住んでいたが、ナチスの追及を逃れてアメリカに亡命し、後にフランスに移住して帰化した画家。宙を飛ぶ恋人達の絵で有名だが、彫刻、陶画、バレー衣装のデザインなどにも挑戦し、晩年はパリオペラ座の天井画や、教会のガラス絵を手掛けた。夢多い絵を描く彼は、私が好きな画家の1人。  ミケランジェロのスケッチ  10月、「浜名湖一周ウルトラマラソン」の前日、東京の国立西洋博物館で開催中の「ミケランジェロ展」を観覧。イタリアルネッサンス期の巨匠として有名なミケランジェロは、絵の他に彫刻や寺院建築などを手がけた天才で、中でもシスティナ礼拝堂に描いた「最後の審判」などが有名だ。同展では、その下絵となった精密なスケッチなど国宝級の絵をたくさん観ることが出来た。  ロダン作「考える人」  美術館の外にはロダンの彫刻が何体か置かれているが、こちらは自由に撮影出来る。そのうちの1枚を掲載しておこう。有名な「考える人」だが、これは巨大な作品「地獄門」のごく一部なのだ。  明治時代の手拭2本  同じく「浜名湖一周」の帰途、江戸東京博物館で開催中の特別展「明治のこころ ~モースが見た庶民のくらし~」を観覧。モースはアメリカの動物学者だが、日本の貝類に惹かれて来日し、お雇い外国人として東京大学で教鞭を取った。大森貝塚の発見者としても有名で、我が国で最初の科学的な発掘調査をした。遺物の縄文土器は、国宝に指定されている。  幕末に来日したシーボルトは西洋の近代医学を教える一方、博物学の関心から日本国内の産物をたくさん収集した。これに対してモースの収集品は、より庶民的、実際的なものが多く、今回は彼自身が描いたスケッチも数多く展示され、当時の外国人が明治期の日本をどう見ていたのかが良く分かる。  アステカ文明の石像  11月、神戸マラソンの前日に大阪の国立民族学博物館を訪れ、特別展「屋根裏部屋の博物館」と常設展を観覧。特別展は同館収集品の基礎となった、渋沢敬三のコレクション。ここは私の8番目の勤務先で、展示内容の変化を16年ぶりに確認出来た。まだ70枚以上残ってる写真は、来年早々に掲載予定。乞うご期待。  米俵を運ぶそり  12月の旅行では、長岡市にある新潟県立歴史博物館を訪れた。常設展では雪国の暮らしや、縄文時代の暮らしを、ジオラマで再現したコーナーが秀逸だった。また、縄文時代の見事な火焔土器や土偶に驚き、珍しい王冠型石器、御物石器、数多くの石棒、石版など初めて見る石器が多くて興奮した。これはたまたま訪れての体験。こんなことが起きるから人生は面白いのだ。<続く> 

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