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マックス爺のエッセイ風日記

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2014.06.10
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≪ 苦しみの始まり ≫

パンフ表紙.jpg 大会パンフ

 いつものように3時半に目覚める。良く眠っている相棒を起こさないよう静かに部屋を出、最初のトイレを済ませる。その後、廊下に座って両足、両膝、両脚に厳重にテーピング。そしてテーピングが剥がれないよう、下はインナーとハーフタイツを履いて再び就寝。2度寝から起きたのは5時過ぎ。7時間ほど睡眠が取れたら十分だ。外は明るい。雨は昨夜のうちに止んだようだ。7時前に洗顔を済ませ、ロビーのテレビで天気予報を見る。

 食事は大広間で7時から。100kmの部だと深夜の2時に起きて準備し、その直後に早い朝食を摂るのが普通。それに比べたらスタート時間が遅い50kmの部は、ゆっくり出来て助かる。ただ夕食同様、野菜が少ないのが唯一の難点か。これだとなかなかトイレに難儀するのだ。8時前に受付のため、体育館に向かう。部屋の相棒は受付後は体育館に居るとのこと。


 50kmの部の選手受付  2受付.jpg

 私は一旦宿へ帰り、部屋でシャツにゼッケンナンバーを着けた。まさか晴れるとは予想しなかった。つい前日までの予報では「雨時々曇り」。だから半袖シャツで良いと思ったのだが、雨が降らなければランニングシャツの方がベストだった。首を冷やすための「鉢巻き」も持参しなかった。帽子と小さめのタオルハンカチは必携。小ぶりのポシェットの中には、小銭、サプリの小袋が1袋、塩の小袋、そしてデジカメ。途中リタイアを考えればこれで十分のはず。


3自分.jpg スタート前の自分

 体調はまあまあ。直前まで宿で休み、9時20分にスタート地点へ向かう。ゴールへの荷物を預け、軽く体操して体をほぐす。それから体育館の中で開会式に臨んだ。形式的な挨拶が続く。それも今から50km走るランナーを鼓舞するようなものではなく、暗い声。後は自分で自分を励ますしかない。


    コース図.jpg  7旗.jpg

 これが50kmの部のコース図。アップダウンは峠越えをする100kmの部よりは少ないが、それでも結構脚へ負担をかけるだろう。ゴールまでの4つの関門が緑色の丸の個所。最初の関門は16.5km先。そこまで行くのも今の体調ではきついはず。出来たら23.3km地点の第2関門までは行きたい。100kmの部だと73.3km地点の銀河高原だが、そこがこれまでリタイヤした最短地点。今回はその先のコース風景を見たかったのだが、多分無理のはず。


   スタート前の風景  4スタート前.jpg

 意外だったのがスタート時の方向。このままゴールのある雫石町へ北行するのだとばかり思っていたのだが、一旦距離調整のため南に向かうようだ。最初から坂道の連続とはねえ。スタートは10時ジャスト。カウントダウンも無しに合図のピストルが鳴った。下り坂を走り出すランナーの群れ。私はゆっくり最初の一歩を踏み出した。いよいよ長いレースの始まりだ。果たして今日はどんな苦しみを味わうのだろう。


5和賀川.jpg 和賀川の流れ

 折り返し点は案外近く、800mほど先にあった。そこから引き返して登り坂へ。たちまち大勢のランナーに抜かれ、私は最後尾に近かった。それでもポシェットからデジカメを取り出し、和賀川の流れを撮った。この人は何を考えているのだろう。不思議そうな顔をして私を抜いて行くランナー達。これで良いんだよ。今日は私の引退レース。思い切り記念写真を撮ろう。

 キロ表示と腕時計を見比べながら走る。キロ7分程度のスピードだ。これは散歩しかしてない自分にはきつい。だが、ペースは「流れ」に任せた。きっとランナーとしての意識がまだどこかに残っているのだろう。スタート直後はどうしても他のランナーのペースに影響されがち。距離表示は7km地点でなくなった。後は自分の体と相談しながら走るしかない。


   和賀川再び    6和賀川2.jpg 

 再び和賀川を撮る。やがてコースは山道に入った。周囲は樹木に覆われている。胸が苦しい。息が苦しい。きっとペースが速過ぎたのだ。うめき声を上げながら走り、そして歩く。練習不足が早くも現れたのだ。「走った距離はウソをつかない」。これがランニングの世界の鉄則。練習してなければレースで苦しむのが当然なのだ。


7(9.6km).jpg 最初のエイドステーションにて

 ようやく9.6km地点のエイドステーション(AS)に辿り着く。私はスポーツドリンクのペットボトルを持って走っているから良いが、ここまで水なしで走ったランナーは苦しかったはず。気温が上がれば喉が渇き、発汗が促され、体内の水分がたちまち不足する。ここで冷たい水を飲み、バナナを食べ、塩をなめ、ペットボトルにスポーツドリンクを補充。そして頭から水を被って再スタート。


   森の中のコース  8山道.jpg 

 森の中は涼しくて助かる。こんな所ではでは帽子を脱いだ方が良い。少しでも発汗を防ぐためだ。相変わらず走ると胸が苦しい。散歩では心肺機能がさほど鍛えられないためだろう。こんなスピードでも不整脈手術を2度受けた私の心臓は、フル回転してるはずだ。思わずうめき声が漏れる。まだ元気だった頃は、歌を口ずさみながら走ったものだ。今口から出るのはうめき声だけ。苦しくて歩く。そして少しだけまた走る。前方のランナーも苦しそうだ。


9観察車.jpg 観察車が背後から 

 いつの間にか、私が最終ランナーになってしまったようだ。背後からぴったり大会本部の観察車が着いて来る。だが焦りはない。これも2度目の経験。3年前の「秋田内陸100km」では最初の8km地点で不整脈が起き、私は最終ランナーになって45kmでリタイアしたことがあった。あれ以来の観察車。これもきっと良い思い出になるはずだ。車を気にせず、私は道端の花をカメラに収めながら次のASに向かった。さくらカメラ<続く>





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Last updated  2014.06.10 03:51:10
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