テーマ:暮らしを楽しむ(388175)
カテゴリ:考古学・日本古代史
7月のある日、眼科の帰りに「仙台市縄文の森広場」に立ち寄って見ました。ここは今から約4千年前の縄文時代の遺跡(山田上ノ台遺跡)に建つ、小さな博物館です。博物館には、縄文人が食べた物のコーナーがありました。私達の遠い先祖が、当時どんなものを食べていたのかを以下に紹介しますね。
これは栗です。クリはブナ科クリ属の落葉性高木で、原産地は日本及び朝鮮半島南部です。実は縄文人の主食でした。青森県の三内丸山遺跡では住居の近くに栗林があったことから、彼らがクリを栽培していたと考えられています。なお山野に自生するのはシバグリやヤマグリですが、それらの栽培化によって現在のクリに変化したのでしょうか。 これはトチの実です。トチはトチノキ科トチノキ属の落葉広葉樹で、東日本が主な繁殖地です。実はあく抜きして食用にします。でんぷんやたんぱく質を多く含み、縄文人にとって大切な食料の一つでした。現在でも食用にしている地域があります。 これはドングリです。ブナ科のカシ、ナラなどコナラ属果実の総称で、「ドングリの木」はありません。実にはタンニンやサポニンなどの渋みがあり、縄文時代はあく抜きして食用にしていました。主に西日本では流水に曝し、東日本では煮沸する方法をとっていたようです。 これはクルミです。クルミはクルミ科クルミ属の落葉高木で、日本に自生するのはオニグルミと呼ばれる種類で殻は堅く、中の種子(仁)が取り出し難いのが特徴です。 これはブナの実です。ブナはブナ科ブナ属の落葉高木。果実は総苞片に包まれて2個生り、断面は三角形をしています。中の胚乳は渋みがなく、脂肪分が豊富で美味のようです。 これはクヌギの実です。クヌギはブナ科コナラ属の落葉高木。縄文時代、実はあく抜きして食用にしていました。 これはカヤの実です。カヤはイチイ科カヤ属の常緑針葉樹。種子は緑色の厚い仮種皮に包まれ、翌年の秋に熟して紫色になります。数日間あく抜きをし、炒って食用にします。 これはシイの実です。スダジイはブナ科シイ属の常緑広葉樹で、普通「シイ」と言う場合は本種を指します。果実はあく抜きが不要で、そのまま食用になります。 これはハシバミの実です。ハシバミはカバノキ科ハシバミ属の落葉低木です。果実(堅果)は食用になります。同属異種のセイヨウハシバミの実がヘーゼルナッツです。 これはヒシの実です。ヒシ(菱)はヒシ科の一年生の水草で、池や沼に生えます。棘のある種子は食用になります。 これはサルナシの実です。サルナシはマタタビ科マタタビ属の蔓性落葉植物で、原産地は日本と中国です。サルやクマなどの動物が好み、この実が木の窪みなどで自然発酵したのが「サル酒」と言われています。縄文人も食用にしたと考えられています。中国原産のサルナシがキウイフルーツの原種です。 これはヤマボウシの実です。ヤマボウシはミズキ科ミズキ属の落葉高木で、原産地は日本です。秋に生る赤い実は甘く、生でも食べられます。 これはアケビの実です。アケビはアケビ科の蔓性落葉低木の一種、あるいはアケビ属の植物の総称です。原産地は日本と中国です。種子を包む胎座に甘味があり、古来から食用にされて来ました。現在でも東北地方では、若芽や果皮も食用にしています。 これはヤマイモのムカゴです。ムカゴは植物の栄養繁殖器官の一つで、葉の脇や花序に形成され、離脱後は新たな植物体として成長します。普通はヤマイモやナガイモに出来たものを指しますが、オニユリ、ノビル、シュウカイドウなどにも出来ます。 これはユリ根です。ユリの中でもあくが少ない種の鱗茎を食用にします。乾燥、高温、過湿に弱い特徴があり、皮がないため、そのままの状態で食べられます。 こうして見ると、縄文人は意外なほど多様な食べ物を口にしていたことが分かります。私もこの中のものを、幾つか食べたことがありますが、皆さんはいかがでしょうか。縄文人は最初はこのような食べ物を探し歩いていましたが、次第に住居の付近で栽培することを覚えます。それは土の中から植物オパール(花粉の化石)が出土することで分かるのです。また縄文人が「クッキー」を作っていたことも分かっています。日本人の遠い祖先達は、案外グルメだったのかも知りませんね。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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