テーマ:絵の好きな人!?(28)
カテゴリ:芸術論
恐らく絵の好きな人で、ルノワールの名前を知らない人はいないだろう。いや、たとえ好きでなくとも一度くらいは名前を聞いたことはあるだろう。中学校の美術の授業で習うはずだしね。
アルベール・アンドレ作『ルノワールの肖像』1912年頃。62.5×46.5 油彩。 ルノワールはこの時78歳頃。死の7年ほど前だが、いかにも真面目そうな風貌だ。 オーギュスト・ルノワール(1841~1919)はフランスを代表する印象派の巨匠。彼の絵は美しい色彩と柔らかな表現で高い人気を集める。彼は「幸福な主題こそが幸福な絵画を生み出す」と言う信念に基づいて制作に取り組んだ。このため画面の隅々にまで幸福感に満たされ、描かれた人物がにこやかで楽し気に見える作品が多い原因とされている。これが多くの人々に愛され続ける理由だ。 先日宮城県美術館で開催された『ルノワール展』を観た。国内外の美術館や個人が所蔵する54点を公開するもので、さる地方紙の創刊120周年記念事業の一環。館内での撮影は不可のため、チケット、看板及び新聞による紹介記事から写真を使わせてもらった。なお掲載は作品の制作年次順とした。 *『小さな桟敷席』1873~74 (32~33歳頃) 27.7×20.7 油彩 *『バレリーナ』1874 (33歳頃) 142.5×94.5 油彩。 バレー衣装を身に付けた少女のバレリーナが、「アン・ドウール」の姿勢を取るために体を半回転させた瞬間を描いた。 *『ヴィクトル・ショケ夫人』 1875(34歳頃) 75.0×60.0 油彩。 *『ポール・ムニエの肖像』 1877頃 (36歳頃) 46.0×38.0 油彩。 どういう訳か絵が左右逆になっているのに途中で気づき、大慌てで写真を逆転させた。 ここまでは表情も色合いも硬くて、あまりルノワールらしく感じないね。 *『ボート』 1878年頃(37歳頃) 54.5×65.5 油彩。 *『マントノンの郊外』 1888(47歳頃) 54.8×65.5 油彩。 *『雛菊を持つ少女』 1889(48歳頃) 65.1×54.0 油彩。 このころになると、彼の特徴である明るさや暖かさが感じられるようになりますね。 *『二人の浴女』 1918~19(77歳~78歳頃) 41.8×38.0 油彩。 これが80歳近い老人の作品とは、到底思えない色彩とタッチですね。それはルノワールが心身共に健康で、誠実な人生を過ごして来たからではないでしょうか。輝くような肌。ふくよかな体型。それらはきっとルノワールの理想像だったのでしょう。 さて、私はルノワールを「ルノアール」と書く癖があります。今回もそんな風に表記した箇所が相当あり、慌てて修正した次第です。また写真は新聞からの転載だったため、紙質の関係でどうしても本来の色が再現出来ません。いずれも小さな作品でしたが、やはり「本物」は違いますね。 なお当日は宮城県美術館の『コレクション展示」も観ました。同館のコレクション中、量的な関係から常設展に出せないものを、時々入れ替えるのです。今回初めて観覧した作品もあって楽しめました。 また、他館の特別展などのパンフレットを観るのもこんな時です。東北歴史博物館の『特別展 世界遺産ラスコー展』もこの時に知りました。5月の連休にでも出かけて見る積りです。 帰路、仙台市博物館にも寄って見ましたが、残念ながら常設展のみ。青葉城天守台の中にある「青葉城資料展示館」に初めて入館しましたが、CG画像を観ながらつい眠ってしまいました。話題作りのため一度入って見たのですが、まあ学芸員もいない施設では、あんなものでしょうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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