2020/07/15(水)13:12
国境・時間と空間を超えて~中国大連・旅順への旅~(24)
<車窓から見た大連>
大連は黄海に突き出た遼東半島の先端にある近代都市。日清・日露戦争に勝利したことで、この地に長らく進出していたロシアが引き上げ、清国が日本へ割譲したことで日本の植民地となった。さらに清国に追放された前の国王愛新覚羅溥儀を擁して満州国を建国し、五族共栄を図った。五族とは日本、漢民族、満州族、朝鮮族そしてロシアであった。単純な植民地ではなかったのだ。
街には日本統治時代の建物がまだ数多く残っている。ロシア式の建物も多いが、これはロシア人が引き上げた後も、日本人の建築家がロシア式の近代的な建物を建て続け、街の雰囲気を維持したのだ。かくて日本は満州のインフラを整備し、満州鉄道の路線を拡充した。また満蒙開拓団を内地から送るなどして満州の広大な荒野を農地とし、大豆などを生産して豊穣な沃野に変えた。奪ってはいないため、私は植民地ではないと考えている。
泊ったホテルの正面には「日本語の看板」も見えた。中にはマッサージを受けたツアー仲間もいた。
大連空港から市内へ向かう途中にバスの車窓から見えた大連の郊外。海岸部にも巨大な建物が建っているがいるが、大連は真珠の養殖が盛んな土地柄。ただし日本の真珠があこや貝を母貝にするのに対して、大連ではアワビを母貝とし光沢のある大粒の真珠が生まれる。
ここからはバスの車窓から見えた市内の店の様子を。
看板で何となく何の店かは分かる。
ゴミはきちんと捨てようと言う注意か。街中の電光掲示板。
春節を迎えるためのランタンもちらほらと。
2階は写真館で、1階は鮮魚店みたいだけど。
ビルの軒下の電光掲示板には、中国のスローガンが流れていた。だが本当にこのスローガンが守られているだろうか。チベット族、ウイグル族、そして香港市民への強制的な抑圧を見ると、こんなのは到底「まやかし」にしか見えないが。つまり外国人向けのアピールだろうか。私たちはちゃんとやってますよと言うポーズだけの。
街中で見かけた中国の国旗(上)と政府のスローガン(下)
ロシア語(キリル文字)と漢字の看板がある不思議な店。
看板を見ると、特定のVIPだけが入れる「商工会議所」みたいだが。
「大連の未来は明るく輝いている」とでも言うかのような内容は、大連市当局のPRか。それとも空母遼寧や近代都市の写真からだと、中国政府肝いりの広告か。バスの車窓からだが、現代中国の目指す方向と人民の暮らしぶりが垣間見られたように思う。<続く>