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マックス爺のエッセイ風日記

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2020.09.13
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カテゴリ:俳句
~秋に想う~

     

 8月の俳句教室に私は3つの句を提出した。兼題(宿題のテーマ)は立秋。8月なのに「秋」がテーマなのは俳句の世界では旧暦が生きているため。それはさておき、提出した中の1句が講師に惨憺たる評価を受けた。気分は最悪だったが、私は気を取り直して9月の兼題を尋ねた。「初紅葉」と講師。帰宅した私はうっ憤を晴らすかのように、急いで幾つかの句を詠んだ。

            

 その中には赤ちゃんの手をモミジに見立てた句も。だがあまりにも通俗過ぎると感じて、ノートに清書しないまま捨てた。それから2週間ほど経ったある日、老人センターから電話があった。俳句教室の会場だ。9月の俳句教室は講師が手術のため、休止する由。彼がガンと戦っていることは何度か聞いた。さてそのことがあって8月の教室では不機嫌だったのか。私は私の俳句道を往くだけの話だ。

    乳飲み子のぐずりて眠る残暑かな    *ちのみご=赤ちゃん

    嬰児の寝息安けき白露かな  *みどりご=赤ちゃん *白露=秋の季語で24節季の一つ

   

    初もみじを背に宮島の大鳥居

 安芸の宮島(広島県)は日本三景の一つで、平清盛が信奉した国宝の厳島神社がある島。背後の弥山(みせん)は紅葉の名所で、宮島の観光土産はかの有名な「紅葉饅頭」だ。句はその紅葉が美しい弥山を背にして海中に立つ大鳥居を詠んだ。私はこの島を2度訪ねたが、山頂までは行けなかった。この山頂の岩には、奇妙な文字が刻まれており、世界共通の神聖文字と言われている。

      

       
        山野辺の径迷ひつつ初紅葉    

 「山野辺の道」は奈良県の明日香村から天理市まで続く、わが国最古の官道で7年ほど前に私はこの道を迷いながら歩いたことがあった。大神神社、石上神社、狭井神社、元伊勢の古社、箸墓古墳、幾つかの天皇陵などがある曲がりくねった道に難儀した覚えがある。大和王朝と出雲族、蘇我氏、物部氏らの古代豪族が深く関与する土地柄で日本史の故郷でもある。今となっては懐かしい思い出だ。

   

       月清ら苫屋に神は降臨す   *とまや=粗末な小屋

 沖縄勤務時代、沖縄本島の北にある伊是名(いぜな)島を訪ねたことがあった。とても神秘的な島で、風景の清らかさと荘厳さに先ず驚かされた。それもそのはず、この島は後に第二琉球王朝の祖となった金丸(後の尚円王)の生誕の地で、古い城跡が残っている。島の集落に一見みすぼらしい小屋があった。

 それは神アシャギ(足上げが変化したもので、神様が寄る神聖な家の意味)と呼ばれる茅葺の小屋。その小屋の神々しさに、思わず息を飲んだ。日本の神社にも共通する神聖さだが、さらに原始的でもっと神に近い存在だと直感したものだ。沖縄にはそんな聖地が各所に残されている。つまり「原始神道」の島なのだ。精神のより深いところで日本と沖縄が繋がっている証拠みたいなもの。それを思い出して詠んだ。


        

            絵筆持つ妻の項や虫の聲   *うなじ *虫の声が秋の季語

      

 前妻は趣味で絵を描いた。その妻が家を出、大量の絵が残された。私はそれを全て処分した。その他にも不要品を4トン車に載るほど捨てた。2か月にも及ぶ過酷な断捨離だった。妻が複数の男性と付き合っていたことを知ったのは、離婚後妻が家を出てからのこと。それも意外な出来事だった。だが妻は子供たちには私が妻の金を盗み、私に恋人がいると話していたようだ。認知機能が狂っていたのだと思う。

            

 離婚調停が終わったその年、私は一人の女流画家を知った。あるブロ友の紹介で彼女の個展を観に行ったのだ。その方がその後私のブログを何度か訪ねてくれた。それもきっと何かの縁なのだろう。方やアマチュアで方やプロの画家。とても不思議な縁を、幻想的に詠んだ一句。もちろん女流画家は妻ではないが、夢のままでも良いかなと思っている。





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Last updated  2020.09.13 09:08:40
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