マックス爺のエッセイ風日記

2021/03/02(火)09:34

アイヌの話(2)

文化論(110)

~ウポポイの話など~     ウポポイは昨年7月にオープンした7番目の国立博物館で、北海道の白老町にあるアイヌ博物館。「ウポポイ」は大勢で歌うと言う意味のアイヌ語。この博物館には「民族共生象徴空間」と言う、やけに抽象的で長たらしい別名が付けられ、それだけで何だかインチキ臭いものを感じてしまう。観覧した人の評判も今一で中には「ウポポイ」ではなく、「嘘ポイ」だと言う人も出る始末。               そもそもこの博物館が出来たきっかけは、2007年9月の国連総会において採択された、「先住民族の権利に関する国連宣言」。これを受けて2014年6月に北海道白老町に「民族共生の象徴となる空間」を建設することが閣議で決定した。また2019年4月にはアイヌを先住民族として明確に位置付けた「アイヌ新法」た成立している。この旗振り役が当時の内閣官房長官で現総理の、菅さんだった。     そのせいもあって、昨年の開会式には菅総理も列席している。それまでアイヌに関しては明治30年代に制定された「旧土人保護法」と言うのがあった。それは「保護」に名を借りた、土地の没収であり、漁業や狩猟の禁止であり、アイヌ固有の習慣。風習の禁止であり、日本語の使用義務と、日本風氏名への改名に伴う戸籍への編入であった。  祈りの際に使用するイナウ    アイヌには自分の領土と言う概念はなかったし、数の概念もあいまいだった。和人が蝦夷が島(北海道)に進出して交易が始まると、和人に簡単に数を誤魔化されたと言う。また明治新政府が北海道と名づけて本格的に開拓を始めると、居住や農地としての適地は和人に奪われ、アイヌは奥地へと追いやられたのが実態だ。政府はその事実をウポポイでは明確に示さないよう、画策したのだろう。そのことがアイヌとこの博物館の立ち位置が不明確になった原因と私は思うのだが。<続く>

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る