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私は行かねばならない。その恐怖の伏魔殿へ・・・。何故、・・・? 行かねば、激痛に悶え苦しみ、永遠の拷問に悶え苦しまねばならないからだ。その拷問から解放される道は唯一つ、皮肉にも、私が最も忌み嫌う、その恐怖の伏魔殿へ行き、恐怖の閻魔大王の裁きを受けことにある。
顔面蒼白となって、震える足を引きずって伏魔殿の扉を開けると、白い衣装に身を包めた妖艶の魔女が笑って待っていた。私は電気椅子へと導かれ、そこに雁字搦めとなった。突然、恐ろしい形相の閻魔大王が現れ、私の口を開いて中を覗き込んだ。 私は舌を引き抜かれる、と思った。しかし、彼はペンチではなく、小型のサンダーを回転させて口の中に入れた。ぎゃ~~~、私は悲鳴を上げようとしたが、うかつに口を動かすと、電動サンダーで口の中がぐちゃぐちゃになる。鋭い金属音と、超音波の軋音が1千億の脳神経細胞を激震させ、私は気を失いかけた。 しかし、気を失えば死ぬことになる。私は懸命にそれに耐えた。次に、閻魔大王は巨大な針を持ち出してきて、口の中に入れて、肉に刺し込んだ。そこでまた私は悲鳴を上げそうになったが、懸命に堪え続けた。 そして、ついに、ついに、閻魔大王はペンチを持ち出してきた。舌を抜かれる、私は観念した。舌を抜かれると、あの世で待つ女房とキッスが出来なくなる。あるいはまた、そういうことはありえないと思うが、あの世の女房でなくても、この世の花、まだ見ぬ未来の妻とそれが出来なくなるのだ。 私は神に祈った。「神様、助けてください。これまで、私の侵した全ての悪事を深く、深く、お詫びし、懺悔します。神様、Help me~~~!」 だが、そこに神様の救いはなかった。ギシギシ、グリグリという音と共に奥歯が引き抜かれた。そのあと、歯根と癒着していた骨が腐っているという事で、そこも荒々しく、綺麗に削り取られた。 「もう、大丈夫だ。これからはちゃんと正しく歯磨きをし、半年に一回はこちらへ来て歯の検査、歯垢の掃除をしなさい。 分かりましたか、歯を軽く見ていると、命取りとなりますよ・・・」 私は、頭を何度も下げて伏魔殿、いえ、その歯科医院を出た。閻魔大王、いや、穏やかな笑顔の歯医者さんが手を振った。 皆さん、歯はくれぐれも大切にし、正しい歯磨きを致しましょう! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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