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椿荘日記

椿荘日記

休養とマーラー第六番

休養とマーラー第六番(テンシュテットによるライブ録音) 2月13日(水)


先達ての3連休中での「ご乱行」ですっかり弱ってしまいました。
久し振りの休酒です。疲れも有るのでしょうが、体中に発疹が出てしまい、解毒剤を飲んで月、火、水と大人しくしています。今日は午前中は庭仕事をして、午後からアトリエです。
昨年夏の引越しの際、移動した八重の白洋椿が今年は芳しくありません。
椿は、実は繊細な花で、大概は日陰でも道路脇でも咲いていますので、よもや弱い花だなどと思う方は少ないのでしょうが、移動や虫害に弱く、イギリス滞在時代に中国種や和種の椿を見つけるたびに何とか根付かせようとしたのですが、皆開花寸前に蕾ごと落ちてしまい、随分悲しい思いをしました(「椿姫」の時代の椿の花が如何に珍しく、高価だったのか思い知ったものでした)。年間を通して日照が弱く、寒冷な彼の地では露地栽培は無理だったのでしょう。
様子を見て、お願いしている植木屋さんに相談するつもりです。
その他のまだ小ぶりな椿達は皆元気で、蕾も大分膨らんでいます。
開花が待ち遠しいです。

母屋のテラスに一月末にやってきた黒芝の子犬「ジロ」が義母といっしょに日向ぼっこをしています。家に来た当初はまだ大人しく、寄る辺無い、といった様子でしたが、今はすっかり慣れて陶製のスツールにリードで繋がれ(木の根を掘るなど、早速悪さをし始めましたので)こちらを見て鼻を鳴らしています。

母にブラシを借り、少しフケが出掛けている背を擦ってやると、興奮し出して跳ねまわります。大分歯もしっかりしてきたせいか、甘噛みながら痛くなってきましたので、少々叱ってやりました。
そろそろシャンプーもしてやらないといけません。
興が乗ってきて止まらなくなって来た「ジロ」とさようならをして、急いで茅ヶ崎のアトリエに。

先生は、前作の「雪椿図」を納めた山口の画廊の依頼で、今度は「柘榴図」を描いています。
柘榴は先生の十八番ですし、スケッチも下図も多いのですが、同じ構図や新たな工夫のないものは本意でないので、あれやこれやと思案中のご様子です。いつも滅茶苦茶な先生の六畳間が、凄いことになっていました(笑)。
大作の、床の間の壁に描かれる「藤図」も、天井に支えるくらいの大きさの紙が丸まって待機していますし(注文主は個人です)、何年か越しの注文もあって、先生の、のんびり、としか見受けられないご様子に心配が募る「弟子」のマリです(苦笑)。

今夜は夫が打ち合わせの為遅いので、息子と二人で夕食です。
時間も遅いですし、冷蔵庫の整理も兼ねて(調子が悪く、全く冷えなくなってきたので、明日買い替えに行かねばなりませんので)作り置きのカレイのフリットと温野菜、冷凍のふかひれスープとテーブルロールという簡素な献立です。そろそろ胃の方は回復してきましたので、お酒に手が伸びそうになりましたが、今夜も我慢、でスパークリングウォーターを。
お座敷で食べるとどうしても息子がテレビのスイッチを入れたがりますので、ダイニングテーブルにセッテイングし、今日着いたばかりの、友人のI氏からの贈り物、テンシュテットの指揮によるマーラーの交響曲第六番(91年のライブ録音)を聴きながら食事の開始です。

「悲劇的」と標題されたことのあるこの曲の、1楽章の勇猛さに垣間見られる旋律の比類ない美しさ、2楽章の引き締まって、端正な表現、3楽章の「緑の荒れ野」の悲しみを秘めた静謐さ、終楽章の過酷な運命に立ち向かう、ある「英雄」の何かを負うての凄絶な行軍と、これほどまでにその「意図」を際立たせた演奏は聞いたことがありません。そして、決して過剰ではないのです。
絶妙なバランスで聴くものの魂をも奪う、テンシュテットの表現には脱帽でした。
息子も「かっこいいね。」と大喜びでした。

既に寝巻きに着替え、しきりに「お母さんも早く寝て。」と勧めてくれる言葉に従い、「ナイトキャップ」無しで、今晩は早寝をしましょうか。





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