コロナの後遺症第2弾

2021.02.23

皆さんこんにちは。とある総合内科専門医です。今日もアクセスありがとうございます！

コロナの後遺症第2弾。

以前にも取り上げたことがありますが、今日はコロナの後遺症についてお話ししたいと思います。

新型コロナウイルス感染症で急性症状を呈した入院患者は、退院後6ヵ月時点で、主に倦怠感・筋力低下、睡眠困難、不安・うつに悩まされていることが明らかにされました。中国・Jin Yin-tan病院（武漢市）のChaolin Huang氏らが、1733例の入院患者についてフォローアップ試験を行い明らかにしました。

COVID-19の長期的な健康への影響はほとんど明らかになっていませんが、今回の検討では、入院中の症状が重症だった患者について、肺の拡散障害(吸い込んだ酸素がどれくらい広がるか)および画像所見の異常がより深刻であることも示され、著者は「これらの集団が、長期的な回復介入を必要とする主なターゲット集団である」と述べています。Lancet誌2021年1月8日号掲載の報告です。

・退院後の症状の聞き取り、6分間歩行テスト、採血などを実施

研究グループは、新型コロナウィルス感染症の退院患者の長期的な健康への影響を明らかにし、関連するリスク因子、とくに疾患重症度を調べるため、2020年1月7日～5月29日に武漢市のJin Yin-tan病院から退院したCOVID-19患者を対象に、前後両方向コホート試験を行いました。

全対象患者に対し、退院後の症状、健康関連の生活の質（QOL）などに関する質問と、身体検査、6分間歩行テスト、血液検査を実施しています。6分間歩行テストというのは、6分間歩いてどれくらい体の酸素が減るかを調べるものです。

被験者を入院中の重症度スケール（7段階評価）に応じて規定した3群（スケール3［酸素補給不要］、4［酸素補給を要する］、5～6［5：高流量鼻カニューレ、非侵襲的人工換気を要する、6：体外式膜型人工肺、侵襲的人工換気を要する］）に分類し、肺機能検査、胸部高分解能CT、超音波検査を行いました。

・入院中に重症だと、倦怠感、筋力低下リスクは約2.7倍に

試験期間中に退院した2469例のうち、1733例が試験に参加しました。被験者の年齢中央値は57.0歳（IQR：47.0～65.0）、男性は897例（52％）でした。フォローアップ検査は2020年6月16日～9月3日に行われ、症状発症後の追跡期間中央値は186.0日（IQR：175.0～199.0）でした。

最も多くの患者に認められた症状は、倦怠感または筋力低下（63％、1038/1655例）、睡眠困難（26％、437/1655例）でした。不安やうつ症状も23％（367/1617例）報告されました。

6分間歩行テストの結果が正常値の下限を下回った割合は、入院中の症状重症度スケール3群で24％、4群で22％、5～6群で29％でした。

拡散障害はそれぞれ22％、29％、56％
CTスコア中央値はそれぞれ3.0（IQR：2.0～5.0）、4.0（3.0～5.0）、5.0（4.0～6.0）でした。

多変量補整後、拡散障害発症に関するオッズ比（OR）は、重症度スケール3群に比べて、4群1.61（95％信頼区間[CI]：0.80～3.25）、5～6群4.60（1.85～11.48）でした。不安またはうつ症状のORは、それぞれ0.88（0.66～1.17）、1.77（1.05～2.97）であり、倦怠感または筋力低下のORはそれぞれ0.74（0.58～0.96）、2.69（1.46～4.96）でした。

難しい話をしましたが、コロナは治癒した後も尾を引くようです。筋骨格系、心肺系、精神においてダメージが残るようです。厄介ですね。やはりそもそもがかからない方が良いというわけですね。