2008/07/13(日)16:53
毎日歌壇より 好きな歌
毎日歌壇より 僕の好きな短歌 毎日新聞 7月13日付
河野裕子氏選
茗荷みょうがの芽あまた出でたる庭の主「踏むな痛い」と書きて留守
紀の川市 吉川建子
【僕の寸評】これは事実だろうか?作者の創作だろうか?いずれにしても上手い。5句目、字足らずの破調は意図したものか?それとも初歩的ケアレスミスか?いずれにしても結果オーライ。
加藤治郎氏選
白球を追ふ少年ら叫びをり合唱させたいほどの美声で
堺市 石井宏子
【僕の寸評】少年野球の光景か。母性とユーモアが漂う。
「二人っきりは嫌でしょ」なんて気を遣うきみのセリフに戸惑っている
新潟市 吉川彩子
【僕の寸評】優しさの発露ではあるが、聞かされる方はかえって迷惑なこういうセリフ、自信がない若い男は言いがちなんだよね。けっこう身につまされる。
誰も彼もみな好き勝手言っているカピバラはただじっと見ている
松戸市 原田由樹
【僕の寸評】下2句のシニカルなユーモア漂う「じっと見ているカピバラ」のイメージ。まいりました。
弱くなった弱くなったと言いながら前田部長に酔う気配なし
相模原市 水野タケシ
篠弘氏選
罷やめてより音信なきを案じゐし後輩がけふの宴会に来つ
東京 上田国博
【僕の寸評】人生の哀歓、人情の機微。・・・もっとも、その後輩は何とも思ってなかったりしてね。
伊藤一彦氏選
父の声いまだこの世にあるごとく問へば応へぬわが耳底に
枚方市 西山千鶴子
【僕の寸評】すでに母を亡くしている僕としても、よく分かる感情である。端正で重厚な作品。
麻痺残る足庇かばひつつ浜畑を打ち終へて見る沖の漁火いさりび
京丹後市 浜岡芳朗
* 難読と思われる字に、適宜ルビを振りました。