2008/04/25(金)10:49
東京タワー
監督:源孝志/2005/Japan
初めは美的だけで見せる嫌な映画だと思った。
この映画には2組の不倫カップルが登場するのだが、そのバランスが結構観ていて微妙で面白い。
一方は美しく可憐で、一方は雑然として激しく、
一方はデリケートで、一方はファイヤー&ファイヤー、
一方は夢物語で、一方は下町物語・・・・
そんなアンバランスさが絶妙であった。
待つだけの男、愛する人には地位と名誉と夫があった。
会えないから、
制限された時間しかないから、
また手が届かないから、燃えるのか?
20歳も年上で自分の母の知人でもあるセレブな女性に憧れる大学生、透。その憧れは崇拝に近い。
夫の事業の傍らセレクトショップを経営し、何の不自由もなく優雅に暮らしている女、詩史。
仕事で多忙な夫との関係は、今はもう仕事上のパートナーのみとなっていた。
透と詩史の関係は立場上いつも一方通行であるが、それは透も納得しての恋愛。しかし、ただ連絡を待つだけの男が自分から一歩踏み出そうとした時、周辺の人々を巻き込んではその人々を傷つけてしまう。その愛は本物なのか?
彼らはその全てを捨ててまで愛を貫くことができるのか?
一方、年上好みの男、透の友人の耕二。
今回知り合った年上の女性は、ごく普通の主婦と思いきや、徐々に加速する狂気的な感情と怖いくらい勢いと熱をもつ喜美子。
耕二は喜美子の家庭での不平不満をも受け入れようとするが、彼女に溜まった不平不満が爆発しては度肝を抜くような行動を起し、振り回されていることもしばしば。刺激的ではあるが大変な彼女だ。
その彼女がこのままでは後戻りできなくなってしまうと、耕二と別れることを決心し、それを伝えようとするのだが・・・・。
その愛は止められるのか?
いやはや、
やけに詩的な台詞が多いので、それが鼻につく場面が目立つ。
そういう意味でキザで嫌な映画だと思ったが、最後まで観ると「それも悪くないな」とさえ思えたりもしてくる。
最近、ラブストーリーを観ていないので鼻についただけかもしれない。これはこれで良いのだろう。
きっと恋はするものじゃなくて、堕ちるものなんだ・・・・・
江国香織の原作なら、この手の台詞は有りえる。
それで納得した。☆☆+。
あと、この映画のキャストは良かった。
セレブな女性の黒木瞳、憂いのある岡田准一、妻を手放したくない岸谷五朗、あと目立たない役だが強烈なインパクトがあった余貴美子・・・・激しいが上品な演技。
しかし黒木瞳の美しさには毎度、驚かされる。
20歳年下の男性から憧れられても無理はない、十分有りうる。