カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
この世に映画が誕生して間もない1902年に、ジョルジュ・メリエスが「月世界旅行」を製作して以来、
世界各国で数多くのSF映画が作られましたが、 特にSFのファンでもない人たちまでが、大傑作と絶賛してやまないのは、'77年のスティーブン・スピルバーグ監督のこの映画でしょう。 砂漠の中‥‥第二次大戦の時に行方不明となった戦闘機が、消失当時と同じ姿で発見されるという、不思議な出来事が起こった。 それを皮切りに、インディアナ州の航空交信センターのモニターに、謎の飛行物体が映ったり、 夜中、州内に母親と住む幼い男の子バリーが、何かに引き寄せられるように家の外に出たり‥‥ また電気技師のロイ(リチャード・ドレイファス)は、踏切の手前で空を飛ぶ不思議な光を目撃。 その光を追うと‥‥UFOらしい物体が! 一方、発見された戦闘機の調査団の団長ラコーム(フランソワ・トリュフォー)は、 ロイたちが目撃したUFOらしい飛行体と戦闘機消失の関連性を推測し、 UFOとの交信方法を探り出そうとした。 そしてUFO目撃後のロイの頭の中には、なぜか「山」のイメージが浮かび、 バリーの母・ジリアン(メリンダ・ディロン)も、頭に浮かんで離れぬ「山」のイメージをスケッチし始めた。 その山は、ワイオミング州の砂漠地帯にそびえるデビルス・タワー‥‥ 夜、ロイとジリアンがデビルス・タワーに近づくと‥‥昼と見まごうほどの明るい光とともに、巨大な円形の飛行物体が‥‥!! 「SF映画なんて、子どもだましな‥‥」と、ふだんSFをバカにしていた亡き父が、 この「未知との遭遇」を、半分バカにしながら観に行ったものの、 映画館で大感激して帰宅するや、「いやあ~、あの映画は良かった!すごかった!」と、モイラと母にまくしたてたものです。 で、モイラと母は次の土曜日、早速観に行きました。(母もSF食わず嫌いで、「どうせタコみたいな宇宙人が出てくる映画でしょ」、な~んてほざいてましたね) で‥‥映画を観終わって大きく頷きました。「なるほど‥‥パパが言った通りだ」 冒頭、砂塵舞う中で戦闘機が見つかるシーンで、もうスクリーンに目が釘付け。 UFO出現のシーンで息を呑み、インドの山奥で大勢の行者(?)たちが、「円盤はどこから来た?」という質問に、一斉に天を指差すシーンで、心の中で拍手喝さい。 そして‥‥デビルス・タワーに巨大宇宙船が降りたち、中からエイリアンが現れるクライマックスでは、もう口開けっ放しでした! あの巨大宇宙船の凝りに凝った造りといったら‥‥!わが日本が誇る円谷英二先生がご存命で、観ておられたら、きっとびっくりなさったことでしょうね。 音楽も実に効果的に使われていました。 スピルバーグ自らが書いたシナリオがまた、素晴らしい!消失した戦闘機、山のイメージなどの伏線の張り方が、実に巧みです。 UFOを扱っているけれども、まったくマニアックでない、格調高い第一級の娯楽作品に仕上がっているのは、この優れたシナリオの賜物でしょう。 主演のドレイファスは言うに及ばず、俳優陣はメリンダ・ディロン、テリー・ガーなど、当時のアメリカ映画界の演技派揃い。 バリー坊や役のケイリー・グッフィーがまた、普通の人には見えないエイリアンと会話するなど、いい演技をしていましたね。 フランス映画界の名監督トリュフォーが、俳優として出演していたことでも話題を呼びました。 スピルバーグの監督としての、またシナリオライターとしての力量に乾杯です! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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