カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
清純派で売っていた女優が、 ある作品を機に、急に汚れ役を演じるという話は、ときどき聞きますが、 この作品ほど、それを印象付けるものはないでしょう。 新藤兼人監督、乙羽信子主演の「どぶ」です。 横浜は鶴見の、バラック小屋が建ち並ぶ川っぷちの貧乏集落に、 薄汚れた娘・石橋ツル(乙羽信子)が、ふらりとやってきた。 集落の住民達は、ツルが少々頭が足りないことを知り、 彼女を利用して、小金をせしめることにしたが…… 乙羽信子といえば宝塚の娘役出身で、当時は「百万ドルのえくぼ」と呼ばれ、 押しも押されもせぬ清純派で売っていましたが、 そんな彼女がこの作品では、脳梅毒に冒された最下層の娼婦役を演じています。 髪の毛はくしゃくしゃ、眉に柳の葉をくっつけたような変な厚化粧をし、 「ギャハハハ!!」と下品な笑い声をたてて、男達にすり寄るといった有様…… 脇を固める役者陣が、またすごいんですよね。 宇野重吉、殿山泰司(近代映協映画の常連さんです)、山村聡、 菅井一郎、藤原釜足、加藤嘉、左卜全、内藤武敏、 女優陣は、初期黒澤作品のヒロイン・中北千枝子、まんま長屋のおばさんの飯田蝶子 どうです?目もくらむようなキャスティングでしょう? 新藤監督が執筆したシナリオも秀逸だし、一見の価値ありですよ! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 22, 2020 07:27:59 PM
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