カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
こんばんは、映画狂のモイラでございます。
今宵は、「第五福竜丸」「裸の十九才」「絞殺」など、 実際に起こった事件をモチーフとした映画作りを得意とした新藤兼人監督&脚本の 「ブラックボード」をお届けいたします。 初夏……とある川の底から、少年の絞殺死体が発見された。 清掃員の安井波江(乙羽信子)がもしやと思い、少年の遺体を確認しに警察署に出向いたところ、 遺体はやはり、彼女の中学三年生の息子・猛(辻輝猛)だった。 そして、ほどなく容疑者として逮捕されたのは、 なんと猛と同じクラスの槙田五郎(南渕一輝)と杉原義夫(阿部征夫)だった! 中学生二人が同級生を殺害したという事実に、マスコミは躍起になり、 大挙して彼らが通っていた中学校に押し寄せた。 校長(財津一郎)はただ狼狽し、猛の担任・富田(田中隆三)は緊張に青ざめるばかり。 そんな中、敏腕新聞記者・三上(宅麻伸)の調べによって 五郎と義夫が毎日、猛から凄まじいいじめを受けていたことが、わかるのだった……! 80年代の日本の公立中学では、生徒による教師への暴力、教師の行き過ぎた体罰、 傍の目にはバカバカしいほど細かい校則による管理教育、 そして……陰湿極まりないいじめが横行し、 いじめの被害にあった子たちの中には、自殺者まで出ました。 この「ブラックボード」は、そうした問題から真正面に取り組んだ意欲作です。 猛が五郎と義夫をパシリに使い、自転車泥棒をさせたり、 教室の中で殆ど全裸で踊らされる様子もひどかったけど、 金持ちの娘で勉強ができない矢沢智子(佐野量子)への女生徒たちのいじめも、凄まじかったですね。 休み時間にトイレに行くことを集団で妨害されて、 授業中に我慢できなくて、おもらししてしまうんだから、ひどいものです。 五郎も義夫も猛も勉強ができず、相沢という女教師(川上麻衣子)から憎々しげに、 「悔しかったら5をとってごらんよ」と、残酷なことを言われるシーンも忘れられませんね。 5がとれりゃ誰も苦労はしないっての! まともな教師なら、生徒たちに「5をとれ」と言う前に、 彼らの個性や長所を認めて誉めそやし、伸ばしてやるのが、筋ってもんでしょ? モイラはそう言ってやりたかったですね。 モイラ自身、小学生の頃から映画人の亡父の影響で、映画や読書、音楽鑑賞にばかり親しみ、 まともに勉強などしたことがなかったから、当然、優等生にはなれませんでした。 「ちっとも勉強しない」と担任から怒られたことも数知れずでしたが、 モイラの両親は、「映画や読書や音楽も立派な勉強だ」と言い、 家での夕食時は毎晩のように、映画や本や音楽や落語の話でもちきりでした。 だから学校での勉強は苦痛でしたね、はっきり言って…… 学校の先生方には悪いけど、教師にも良いイメージを持っていませんでした。 この「ブラックボード」が上映されてから34年になるけど、 今でもいじめに悩んで自殺を思いつめる子どもたちが、あとを断ちません。 つまり、学校での問題はちっとも解決されていないということです。 全国の教壇に立つ先生方へ…… ぜひ一度、この映画を観てみて下さい! 今もなお学校で起こっている問題に目をそらさずに……観て下さい! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 29, 2022 01:49:56 AM
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