本を読みたい

　鷺沢萠の未完の遺稿を含む作品集。

　「眼鏡越しの空」は、娯楽性もある楽しい作品。少女漫画を読んでいるような、そんな錯覚も抱きます。

　「春の居場所」は、自分の高校時代と重ねて読んで好感を持ちました。未完であるのが残念。映画化されているようなので、そちらも見てみたい気がします。

　在日韓国人の通名がテーマの一つですが、これには力が入りすぎている感がありました。作者にとっては思い入れの強いテーマだとは思いますが、もう少し力を抜いて扱うことができれば、また別の良さが作品に出たのではないか、と思います。

　作者にとっては「最後の作品」に当たるのですが、そういう雰囲気はまったく感じられないものばかりでした。

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「ビューティフル・ネーム」　（新潮文庫）
　著者　鷺沢萠
　定価　本体４００円＋税
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