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テーマ:転職・再就職(1122)
カテゴリ:コンサルタントの仕事
就職活動の季節が近づいてきたので、今日は、僕の経験を通してコンサルティング会社の仕事について書いてみたい。
僕は長年コンサルティング会社に勤めている。 いわゆるコンサルタントである。 このコンサルタントという仕事、 古い世代や、余り関わりのない業界の人から見ると、得体の知れない、胡散臭いイメージがあるかもしれない。 一方、若い世代やIT・デジタル系の人から見ると憧れの職種だったりする。 しかし、コンサルティング業界も、一時期大量採用していたせいか、昔に比べ、一般化しており、僕の会社のような1000人を超える規模のコンサルティング会社の場合、新卒の普通の就職先として選ばれているようである。 新人を見ても、昔に比べ、良く言えば”まとも”、悪く言えば”平凡”な人が多くなったように思う。(昔は実力は別にして自意識過剰のコンサルタントが多かったからなぁ。) これは戦略や人事など専門分野に特化した小規模なコンサルティング会社とは事情が違うだろう。 コンサルタントといっても会社や仕事や待遇が様々なので、就職先として、コンサルティング会社を考えている人は、よく注意した方が良い。 中小のコンサルティング会社は、財務的に余裕はないので、おそらく即戦力の人しか採用しないだろうし、即戦力でなければ会社にいることができないだろう。 コンサルティング会社にとっての即戦力とは、クライアントから、お金を出す価値ありと評価される人。 僕の会社のように大手コンサルティング会社の場合、プロジェクトの規模が大きく、また、幅広いサービスを行っているので、即戦力でなくても、将来性が評価されれば採用するし、入社してすぐに、やる仕事も沢山ある。 だからコンサルタント志望の人にとっては比較的、敷居が低いのではないかと思う。 しかし、ここで注意しなければならないのは、やる仕事が沢山あると言っても、自分が思い描いている仕事ができるということではないこと。 正直言って地道な仕事や雑用が多い。 大手コンサルティング会社の場合、規模拡大(売上、利益、コンサルタント数)を目指すことがミッションになっており、また、クライアントの殆どは大企業なので、大勢のコンサルタントがプロジェクトチームを作って組織的にクライアントサービスを行う場合が多い。 ひとりのスーパーコンサルタントがあらゆる問題を解決するようなイメージを持っていると大間違い。 また、自分が、そのようなことができると思うことも勘違い。 新人や経験の少ない人は、パブリックデータの収集、報告書の体裁修正、議事録作成、スケジュール調整など雑用が多くなる。 IT系の大手コンサルティング会社はコンサルティングだけでなくシステム開発まで行うので、詳細設計やプログラミングばかりやらされる場合も多いと思う。 こういう経験を何年も積んで、本当の意味でコンサルタントとして認められるようになるのはマネージャーになってからであろう。 早い人でも7~8年はかかる道程である。 中には5年程で頭角を表す人もいるが稀である。 僕の会社の場合、大手コンサルティング会社の中でも、比較的、離職率が低いらしいが、それでもマネージャーまでたどり着く人は半分以下ではないか? その間に、どんどん辞めていく。 それはクビになるのではなくて、自分が思い描いていたコンサルティングの仕事ができないからとか、評価が低くてボーナスが少ないとか、個人的な理由が殆どだろう。 しかし、僕に言わせればマネージャーになるまで我慢して頑張らないと大手コンサルティング会社に入った意味がない。 コンサルティング会社の顔としてクライアントと真正面で議論し、意思決定にかかわれるので仕事が格段に面白くなる。 また、マネージャーとして業務を成し遂げた経験があってはじめてプロと言えると思うし、プロジェクトの採算まで管理して、はじめてビジネスマンとしても評価できると思う。 しかし、マネージャーになると更に立場は厳しくなる。 売上の少ないマネージャー程、惨めなものはない。 大手コンサルティング会社の場合、ブランド力があるから実力がなくても仕事が入ってくると思ったら大間違い。 大手コンサルティング会社の場合、チャージレート(時間単価)が高い。 チャージレートとは、コンサルタントひとりが、単位時間あたりに請求する報酬額のこと。 コンサルタントのランクが上がる度に、チャージレートも高くなっていく。 このチャージレートがコンサルティング会社の収益性を表す指標であり、会社として一定の基準を満たさないレートで仕事をすることは許されない。 中小のコンサルティング会社に比べ、教育や広告やバックオフィスの維持費は莫大であるから、それを大きく上回る儲けを出すことが求められる。 マネージャーの場合、自分ひとりでもチャージレートが高く、クライアントに納得してもらうのが大変なのに、自分だけでなくプロジェクトチーム全体の売上が目標として設定され、その結果が評価に影響するから大変である。 駄目部下がいても言い訳はできない。 駄目部下の分は、自分の顔、信用や、チーム全体での付加価値で補わなければならない。 チャージレートが高いから、ちょっとしたプロジェクトを数カ月やるだけで報酬は数千万円の見積もりになる。 規制のない業界なので、当然、競合他社と競い、提案内容、価格面で勝らなければ仕事は獲得できない。 クライアントが有名な大企業であれば、競合他社も、世界のトップレベルのコンサルティング会社が名乗りを上げる。 こういう条件で仕事を獲得しなければならない。 また、既存契約の仕事をしながら、新たな案件を開拓し、仕事が途切れ、稼働率が下がらないよう営業面の努力が必要である。 こういうことができないマネージャーは惨めな評価になり僅かなボーナスしか貰えず、どんどん辞めて行く。 「君、向いてないんじゃないの?」と肩をたたかれる人は少ないが、そういう雰囲気が漂っているのだろう。 こういう仕事を何年もこなし、マネージャーとして大活躍した人は執行役員(僕の会社ではパートナーと呼ぶ)になれる。 これがコンサルティング会社の出世のゴールだ。 執行役員まで残る人は、おそらく1割に満たないだろう。 (僕の会社の場合、マネージャーの上にシニアマネージャーというクラスがあり、パートナー候補という位置付け。僕は今、このクラス) 執行役員は、役員報酬を貰うわけだから、その金額は業績次第。(もちろん、ピンキリ) 契約期間は2年。 コンサルティング会社は、年功序列ではなく、成果主義なので、早ければ30代半ばで執行役員になれる。 しかし、執行役員になると、結果を残さなければ契約は更新できない。 つまり簡単にクビになってしまう。 30代でリストラは厳しい! 特に戦略系のコンサルタントは、早く出世して早く去って行く人が多い。戦略系の仕事は小規模、短期間のプロジェクトが多いので、クライアントの心をしっかり、つかまえておかないと仕事が続かず、社内失業しやすい。 従って、大手コンサルティング会社に入社しても、コンサルタントとして長続きすることは正直言って難しい。(特に戦略系コンサルタントは) あまり安易な志は持たない方が良いかもしれない。 しかし、活躍している人もいることは事実だし、仕事自体は楽しい! では、どうやれば大手コンサルティング会社で活躍できるか、生き残っていけるかについて次回の日記で書きたい。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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