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カテゴリ:お話し
『今日は帰ったら、自転車で川に行こ~』 昭和40年代 このあたりでは、まだ貨物の蒸気機関車が走っていた
『今日は、来れる?』 『おう!絶対に行く!』 『ホンマに~?』 『行く、行く言うたら絶対に行く!』
家に帰ってからのことは、考えていなかった でも、祖母に何を言われても 今日は、絶対に行きたかった
『只今ま~』 『お帰りやす、早よおましたなぁ』 『うん、今日は自転車で出かけてくる』 『いけまへんでぇ』 『今日は、絶対に行く!行きたいねん』 『いけまへん!』
自転車に飛び乗り、後ろを振り向かず 『ごめん』と心で呟きながら・・・
そこには、奇麗な川が流れ、そこには魚が一杯いた 今までに、見たこともない奇麗な光景だった 『来て良かった』そう思った そして・・ お婆ちゃんにも見せてあげたいなぁ でも、遠いし無理かなぁ
『奇麗やろ?魚が一杯おるし』 『ほんまやなぁ ありがとう』 友達の自慢げな笑顔と私の満足した笑顔 夕焼けで川面が光っている・・・ しまった!早よ帰えらな!
『只今まぁ!』 『こんなに遅そうまで、何してましたんや!』 『最近、お婆ちゃんの言うこと聞かんと!』 『心配しまっしゃろ?』 『あんたは、お母さんから預かってまんねんで』 『ゴメン・・・でも、絶対に行きたかってん』
友達も私も楽しかったし 皆、仲良く笑顔で遊んだ でも、お婆ちゃんの表情は少し寂しそうだった・・・ 皆が揃って笑顔には、成れないのかなぁ・・ 誰かが、我慢しなければいけないのかなぁ・・
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