第6回 5月5日『山登りの思い出』 田んぼに水が張って、近くの山が緑になり始める頃、いつも思い出す 山登りの出来事があります。もう四年くらい前のことになりますか 「明日は天気もいいし、みんなで山登りに行こうか」と突然家族の中で 話が出ました。私も若いころはけっこう山にも登ったたんだけどね… しかし、あれからとてつもなく月日が流れています。体力に自信がありません。 もちろん、そこまで高い山に登るというのではありません。 新潟平野を見渡せる弥彦山の頂上を目指して登ろうということでした。 登山口は、弥彦神社境内の横道を進むと出てきました。小さなリュックを かついだ息子と一緒に登るというのが、楽しみでもあり、ちょっと心配 でもありました。「重い水はパパが担当ね」。登山道をスタートして、 すぐに茶屋が見えてきました。ラムネやジュース、名物の“ところてん” などを売っていました。怠け者の私は、休憩処を見つけるとすぐに座りたく なってしまいます。 甘い誘惑に駆られる大人とは対照的に息子はスタスタと文字通り走るように 先に進んでいきます。よし!気合を入れて行きましょう。ココからが急な 上り坂のスタートです。 四合目まで、かなり急な坂道と階段の連続で息もだんだん上がってきました。 思ったように足が上がらず、太ももの前側がパンパンに張ってきました。 私の顔がよっぽど疲れていたのでしょうね。すれ違う人たちは挨拶とともに 「頑張れ」と声を掛けてくれました。その声に、何とか励まされて一歩一歩 登ってきました。息子の背中がどんどん遠くなります。 六合目。大分登ってきました。先に行きたがる息子をストップさせて、 休憩をとりました。 後ろを振り返ってみると…。「わあ~、すごい景色!」里から越後の 田園風景まで一望に見渡せました。田植え前の田んぼには、水が張り 太陽の光が反射して、巨大な鏡のようにきらきらと美しかったです。 七合目を過ぎると、まさに森林浴状態でした。木々の間から木漏れ日が 差して幻想的な風景が見られました。山頂から流れてくる小川にかかっ ている木の橋は、苔に覆われており、まるでジブリ映画の風景のようでした。 苦しい、苦しい最後の急な上り坂。頭上から遊具のモーターの音や、 幼い子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてきました。その音を聞くだけで 元気が出ます。「もう少し!頑張れ」。その坂を上りきると、ロープウエー の頂上駅付近にたどり着きました。 バンザ~イ。初めて親子で弥彦山制覇だぁ。 もちろん、頂上では家族で食べる「おにぎり」という楽しみがありました。 予想以上の速いペースでの山頂到着に驚いたと同時に、「途中で“泣き言” を言うかも」と思っていた息子が頂上まで登れたということが嬉しくもあり、 頼もしくもありました。 ジャンル別一覧
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