第16回 7月14日『夏休みこども教室』 そろそろ夏休みの気配がやってきました。 子どもたちにとってみれば長期のバカンス到来でウキウキ気分なのでしょうが、 親の立場になれば自由研究が気になり何だか落ち着かない季節です。 この時季になると私のところにも夏休みの自由研究をテーマにした教室の依頼が きます。 主に園芸や植物をテーマにしたもの、手作りをテーマにしたものなど、 体験を中心にしたレッスンです。また参加する子どもたちの学令によっても体験の 内容も変わってきますし、障害を持った子どもたちの場合「親子体験」という スタイルで行うこともあります。 はじめに作業の手順や注意事項など子どもたちに説明しますが、作業が始まれば できるだけ指示を減らし自由に制作できるよう心がけています。 このようなスタイルでやっているからでしょうか。時たま完成した作品の中に びっくりするような面白いものが出来上がることがあります。 子どもたちは造形の天才”。 私にとってはそんな作品たちとの出会いもこの講座の楽しみの一つになっています。 数年前の講座での出来事です。私は夏休み体験教室としてワイヤーで造形物を作り、 そこにアイビーなどつる性の植物を這わせる体験レッスンを行いました。 子どもたちは素材や道具を使うことに慣れていなかったために悪戦苦闘していました。 そんな中、小学校高学年の一人の女の子が体験に参加してきました。 はじめはみんなと同じように思うようにいかず、しきりに首をかしげながら 型紙に合わせてワイヤーを折り曲げていました。 「ちょっと難しかったかな?」 他の子どもたちはあきらめて次々と準備されたパーツを求める中で、彼女は ゆっくりでしたががんばってオリジナルの作品を作っていました。 後から参加した子どもに追い越されながらも彼女は黙々と作業を続けました。 そして最後に「できた~」と言いたかったのでしょうか…。 彼女は完成した作品を静かに持ち上げ、私の方にみせてくれました。 その時の満足そうな笑顔がとても印象的でした。もちろん指定の時間は大きく オーバーしましたが、じっくり付き合ってあげられてよかったと思いました。 大勢の人が参加する体験では、会場の使用時間や参加人数の調整など、 “大人の都合”もあります。 少しでも出来の良いものを作らせたいという親の気持ちもあるでしょう。 また、次の予定があり、ゆっくりできなくてついつい大人が手助けをしてしまう 場面もあります。 でも、そこをぐっとこらえて見守るのも大切だなと感じました。 だって真剣に取り組む子どもたちのまっすぐなまなざしは、夏の日差しにも負けず 劣らずキラキラと輝いているのですから。 |