2157966 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2020年06月21日
XML
カテゴリ:山梨の歴史資料室

一、つみの御牧 甲斐の古代牧?? 燕居雑誌(日尾荊山) 

 

かげろふの日記、御堂道長の長歌に、  

かひなきことは甲斐の国、

つみの御牧あるゝ駒の

いかでか人は影とめむ、

 

と思ふ者からたらちねの云々、 

坂仲文が解環には、かひの国みつの御牧と直して、

さて其説に、みつの御牧原本「つみ」とあり、

契本に「つ」を「へ」と直して、和名抄甲斐国巨摩郡逸見郷を引り。

今は則原本の「つみ」を倒せしと見て、

昔より歌に詠馴し、小笠原美豆の御牧の義にとれり。

且は原のまゝを倒して「みつ」とよまるまれば也。

そのうへ六帖の歌、  

小笠原美豆のみ牧に荒る駒

もとればぞ馴るゝ子等が袖はも 

とあり。今は其意をとりて可ならむか。

され共藻鹽草を関するに、

顕昭が説にも、忠岑が十體にも、小笠原は甲斐の国なり。

「みつ御牧は山城国淀の渡り也」。

しかれども證歌には、「小笠原へみのみまき」と侍り。

能因歌枕に「へみの御牧」とは、蛇に似たる色の麻の生ずる故にと。

然るを堀河院百首に、顕仲が春雨の歌に、

「小笠原みつのみまき」と詠みたり。

是僻事歟云々。 

古よりこれらの説あるにより、

契沖は且き本義を正さむ為に、「へみ」に直されたらむなり。

又契本の内一本に、六帖の歌を引けるも「へみ」とあり。

流布の六帖誤多きものなれば、

今の印本をも直して引かれしにや、

されど原本に依て再案ずるに、

沖にしたがへば何れの僻字の、

へに取ても點畫の形最遠し、

「つみ」を打かへせば「みつ」なり。

且本義にあらず共、詠習ひたるままに、

詠むことも、昔より其例なきにしも非るべければ、

此長歌を公の詠れしをり。

何れに付かれたるも、今には計りがたけむ。

今原本を直すの少きにとり、

又は本義には背くとも、

詩の和順なるによりて、

姑く余が思のまゝに直せし、

 

今此二説を挙置きれば、

読人の好む方にしたがひ給ひなむと云れたり。

瑜案ずるに、仲文此「つみ」の僻字の「へ」に取ても、

點畫の形いと遠しとて、

契沖師の定めしをさへに疑ひて、

顕昭が僻心得をし、歌を徴にして打ちかへしたるぞ可咲き。

こは原来「へみのみまき」なる事、

和名抄にいへる如く、疑ふべきことに非ず。

又「つ」と「へ」まがふべきも、

いちじるしき僻字あるをば知らでや有けむ。

こはまさしく倍の草體により誤て□と成りたる者也。

萬葉にしきたへを敷多倍、

とこしへを常之倍などの類あぐるに暇なし。

此僻字だに知らずして、契沖を疑ひしは、いと鳴呼ならずや。 

 






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020年06月21日 21時41分30秒
コメント(0) | コメントを書く
[山梨の歴史資料室] カテゴリの最新記事


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

山口素堂

山口素堂

カレンダー

楽天カード

お気に入りブログ

6/16(日)メンテナ… 楽天ブログスタッフさん

コメント新着

 三条実美氏の画像について@ Re:古写真 三条実美 中岡慎太郎(04/21) はじめまして。 突然の連絡失礼いたします…
 北巨摩郡に歴史に残されていない幕府拝領領地だった寺跡があるようです@ Re:山梨県郷土史年表 慶応三年(1867)(12/27) 最近旧熱美村の石碑に市誌に残さず石碑を…
 芳賀啓@ Re:芭蕉庵と江戸の町 鈴木理生氏著(12/11) 鈴木理生氏が書いたものは大方読んできま…
 ガーゴイル@ どこのドイツ あけぼの見たし青田原は黒水の青田原であ…
 多田裕計@ Re:柴又帝釈天(09/26) 多田裕計 貝本宣広

フリーページ

ニューストピックス


© Rakuten Group, Inc.