2021/01/09(土)06:24
俳諧に於ける切字について 誹諧新式抄出畢 ○守武辞世 山口素堂 目には青葉 山ほととぎす 初鰹
俳諧に於ける切字について
◇ 太田南畝『一話一言』
◇ 一部加筆 山梨県歴史文学館
◎ かな
筆ひちて結びし文字の吉書哉 山崎宗鑑
若水のえさるも汲てえはう哉 松永貞徳
〔頭註〕此句壬申のとしと見へたり寛永九欺。」
◎ もがな
それと聞そら耳もがな郭公 杉田望一
彼岸とて慈悲に折する花も哉 維舟(重頼入道)
◎ がな
送り火をとどめてしがな玉祭 野々口立圃
◎ がもな
なけば啼媒(お)鳥(とり)もがもな郭公 知徳
◎ けり
桜鯛にこはまさりけり紅葉鮒 貞徳
◎ けりな
春と夏と季かへにけりな白かさね 定重
◎ せり
山の鳥も立およぎせり霧の海 立圃
◎ たり
並居たりきらほしのごとく菊の宴 維舟
◎ む
やかずとも草はもえなん蕨餅 西願寺 任口
◎ し
水に出水より寒し真(ま)桑(くわ)瓜(うり) 大阪 琢也
◎ じ
大和ともからともいはじ狛(こま)のふり 徳元
◎ し
水せがき逆縁なりとうかぶべし 維舟
◎ もなし
咲梅のかほどめでたき物もなし 玄札
◎ ぞ
一番に耳より年ぞとりのとし 望一
◎ さぞ
北山の茸がりはさぞ小官つだけ 立圃
◎ さぞな
庭にさへさぞな落葉はひがし山 立圃
◎ かしな
ふれがしな麦はあしくと春の雨 細川幽斉
◎ たしな
間たしな世のまことより鷽(うそ)のこゑ 如自
◎ やな
色にそみ香にめでたやな花の宴 貞徳
◎ かや
鶯のむすめか鳴ぬほとゝぎす 荒木田守武
◎ や
たつとしや山に木のある祇園の会 高瀬梅盛
◎ かや
ひよくかや羽をならべてかへる雁 貞徳
◎ かは
花を見ぬ人は人かは大桜 望一
◎ やは
手を折はこれひとつやはかきわらひ 維舟
◎ こそ
筆にこそ墨ぞめざくらかばざくら 徳元
◎ なり
達者なり秋にさきだつ萩のはな 貞徳
◎ いづれ
睦月てふ最初いづれのおほんとき 貞徳
◎ いづく
富士垢離やいづくも雪のながれ川 立圃
◎ いかに
なくにさへわらはばいかに郭公 女
◎ いざ
千金もいざ山ぶきのはなのいろ 糸立
此末切字あまたありしかども、ものうければかゝずなりぬ。
誹諧新式抄出畢 ○守武辞世
守武大人の句に
ちる花を南無阿弥陀仏とゆふ辺かな