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絨毯屋へようこそ  トルコの絨毯屋のお仕事記

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mihri

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2005年09月29日
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カテゴリ:絨毯屋の仕事
関西の学生さんがキリム織り研修でいたときから始まった糸の草木染め。
彼らが滞在中に2色を試した。
1色目はピュレンオトと魔法の粉によるサーモンピンク。
2色目はエゼンテレとタマネギの皮で濃黄色。

そして3色目を試している途中で、期間が終わり、学生さんたちは帰国。
そのあともアイシェと私で糸染めは続いていたのである。

そして今日、アイシェを訪ねた。
昨夜、電話をして糸を引き取りに行くから、乾かしておいてね、と頼んでおいた。行ってみると、さすが「絨毯畑」ができるアンタルヤの太陽である。
すっかり乾いていた。

3色目は藍がめで還元藍(ここではインディゴ)とドライレモンで濃藍色。
4色目は黄色に藍をかけて濃緑。(5日間つけ込んだもの)
5色目は黄色に藍を淡くかけて黄緑色(2日間つけ込んだもの)
6色目は藍を1晩だけつけて水色。
7色目はサーモンピンクに魔法の粉をほんの少々。で黒味がほんの少しついてトルコ風に言うと「赤ちゃんのくちびるの色」。

写真を撮るのを忘れたので、色をお見せすることはできないが、草木染めのしっかりした色の糸は普通の糸と本当に違う。
色の深みが全く違う。

日本では草木染めというと淡い色をイメージする人が多いが、トルコのは堅牢度が高く、骨董業界やコレクターの間では基本的には色が退化しないものを「草木染め」と言い、いくら草木が材料でも色が褪せてしまうような弱い染色は「人工染料」に分類する。
だからトルコの伝統的な草木染めの糸の色を見ると、多くの人が「こんな濃い色がでるんですか?」と驚くけど、出るんですよ。

今はトルコの染色もキリムの織りのこともきちんと知らない素人さんたちが気軽にキリム、絨毯を売る時代である。
私は人のことはどうでもいい方なのだけど、一応この世界で飯を食わせてもらっている立場として、ちょっとこれはなあ・・・って思うことが多々ある。間違った情報が提供され、それが堂々と行き交ってしまっているのである。
人工染料である青や紫が時とともに褪せてグレーに変色するのは「時を経てよい色になった草木染め」ではないし、そう言った方が高く売れるからと「ブルガリアのトルコ系移民のキリム」を「シャルキョイ」と言うのもそろそろ辞めたらどうだろう・・・・。その時代時代の染色、糸のより、デサインが両者では明らかに違うのだから。

基本的な染色のこと。
織りのこと。
糸のこと。
織られている状況。
当然、女性たちの気持ちもそれを取り巻く環境も・・・知らない。

それも商売のやり方なんだろうし、稼いだが勝ちの世界である。
興味がないのは仕方がない。
でも知らないものは知らないことにしておいて欲しいなあ・・・って。
でも全てがちょっとの好奇心と探究心。あとはちょっとの行動力なんだけどなあ・・・って。

商売とは無縁で個人的な興味や大学の研究などで何度も通ってきて、各地に出向いている人もいる。そういう人たちは基本的な勉強や知識、さらに語学力(トルコではトルコ語とその専門用語)を十分持った上で歩くから、情報の収集力がすばらしいのである。
しかもトルコ国内だけのことしか知らない私と違い、グローバルな視点から全体的に眺められるので、教わることが実に多い。そこでとくにモチーフなどに関しては謎が解けることもある。
彼ら、彼女らとのコンタクトは本当に楽しいものになるし、彼らのために私が役に立てることがあるとわかるとうれしくなるものである。

モノを売るだけの時代は近い将来終わりが来る。
伝統的なものはどこの国でもなおさらのことである。
そのとき、みんなはどうするのか。私はどうするのか・・・・。

それがアイシェの伝統的でかつ素晴らしい7色の草木染め糸を見て、思ったこと。この色を見ずに何が語れるのだろう・・・と。

まあ、いつものように、負け犬の遠吠えだと思ってください。





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Last updated  2005年09月30日 09時35分06秒
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