『バッテリー』あさのあつこ/著
WBCで日本中がヒートアップした。続いてセンバツ高校野球。今年は、娘が通う高校が出場したので、当然のことながら私も応援に熱が入る。しかしこちらは残念ながら2回戦で惜敗…私も甲子園に行きたかった!次は、セパ両リーグで盛り上がるか。今年もロッテ頑張れよ~!まだまだこれからだぜっ!天賦の才と運と、そして不断の努力を重ねて、大舞台で脚光を浴びる野球選手たちを見ていると、『バッテリー』の登場人物たちが頭をよぎる。主人公・原田巧(たくみ)は、小学生の時からその野球の才能に自信を持ち、もてるエネルギーをうまくコントロールすることができず、常に苛立ち、ガラスのような心を持った少年である。小学校卒業後、父の転勤に伴って母の実家がある田舎町へと引っ越すことになるが、そこで久しぶりに再開した祖父(母の父)が、実は以前一目置かれる高校野球の監督であったことを知る。しかし、そんなことは巧にとっては何の意味ももたない。巧にとってより重要な出会いは、自ら巧のキャッチャーを申し出た永倉豪(ごう)だった。小学生のとき大会で巧のピッチングを観戦していた豪は、その臥体とおおらかな性格で巧とバッテリーを組むことになるのだが・・・一方、体が弱く病気がちで、兄・巧にあこがれていただけの弟の青波(せいは)だったが、少年野球のチームに入る。その才能は・・・?「おまえってなぁ・・・やたらまわりの者を感動させるか挑戦的にするか、なんだよなあ。」いわゆるスポーツ根性ものではない。中学一年生の少年がここまで?と思う。思春期に私も多少持っていた心の影のような部分にうまく焦点を当てている。だから大人になった今読んでも何かこみ上げるものがあるんだと思う。今日久しぶりに書店をうろうろしていたら、平積みにされた文庫本『バッテリー』の帯に「映画化決定!」と書いてあった。そうなんだ~と思った。最近児童書がなんでもかんでも映画になる。表面的でない内容になるといいが・・・と思う。