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2004年10月30日
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テーマ:小説日記(233)
カテゴリ:小説
中学時代のエッセイ小説

********

彼の名前は「ワンちゃん」と言った。

顔とか仕草とかじゃなく名前からついた。

中学での席はなぜか「班」の形と決まっていた。

私と森狩野という男子と友達、矢衣子と「ワンちゃん」は同じ班になった。

お互い向き合って座った。

授業なんてろくに聞かずに班で遊んだ。

「ワンちゃん」は漆黒のストレートヘアで、どちらかというとあまり喋らない子だった。

授業中、彼はドクターグリップをくるくる回して黒板を睨んでいた。

そのくるくるがなんとも珍しく感じて矢衣子と一緒に聞いた。

「それどうやるん?」

最初は綺麗にくるくる回らなかった。

でも毎日靴を履くと足の形にぴったりなるようにしだいに、指がシャーペンになじんで回った。

くるくる回るなんてのはとんだトリックで、本当はシャーペンは回ってなかった。

指で交互に弾くようにするとシャーペンはいかにも回っているように見えるのだ。

私の手の中でシャーペンが回る。

回っているように見える。

でも「ワンちゃん」は超一流で、速さは誰も敵わなかった。

「ワンちゃん」は遊戯王カードのコレクターだった。

市販のファイルに一枚一枚丁寧に収まっていた。

キンキラのプラチナカードはページをめくる度に財宝のように見えた。

みんなは頭を寄せ合ってそれを見た。

彼は細々と説明をしたけど、誰も聞いてなかった。

ただ、有ればいいのだ。

なにか時間の空白を埋めるものがあれば。

ある日、「ワンちゃん」の顔が真っ青だった。

弁当も広げないで、顔を突っ伏している。

班員は問いただした。

彼は噛み締めるように一言一言言った。

カードがなくなった、と。

班員は顔を見合わせた。

不良がはびこるこの学校でカードがなくなった。

「ワンちゃん」の大切なカードがなくなった。

二度とそれが戻ってこないことは百も承知だった。

探すフリをしてあとは彼を慰めた。

ただ、昼休みの間の出来事。

長い髪が彼の顔を少しだけ隠していた。

彼の眼には赤い色が浮かんでいた。

肩を震わせて、必死に我慢して。

いすにじっと座って身動きしないで。

私はそれを遠くからずっと眺めていた。

過去の記憶がだぶった。

私の過去と。

昔の自分と照らし合わせて。

彼と私は同じ。

私は彼を楽しそうに遠くから見た。

******

後日訂正して「Novel」にUPする予定。
短編の練習。





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最終更新日  2004年10月30日 18時19分59秒
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