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カテゴリ:法律、制度
司法試験の制度改革について書こうとしています。
前回書いたとおり、これまでの司法試験は、いわゆる「一発試験」でした。 一発といっても、択一式(5月)、論文式(7月)、口述式(10月)というふうに行われるのですが、とにかくこのすべてに1回でパスすれば、司法修習生になって、法曹となる資格を得ることができます。 今後は、法科大学院(アメリカのロースクールに倣ったもの)に2~3年通い、それを卒業してようやく司法試験の受験資格が得られます。 これまでは、受けようと思えば基本的に誰でも受けられる試験だったのが、これからは、試験を受ける資格を得るために大学院に入らないといけない。その大学院にももちろん入試があります。 大学院を出たあとの司法試験も、もちろん受かる保証はなくて、卒業後5年以内に3回に限り受験できる。それで受からなければ受験資格が失われる。 制度改正当初は、大学院さえ出れば8割は受かるようにする、とか言われていました。大学院で時間をかけてじっくり教育を受けて、その代わりに試験自体は受かりやすいものにして、時に中国の「科挙」にもなぞらえられたほどの司法試験の苛烈さを和らげようというのが狙いでした。 ところが実際は、ふたを開けてみると合格者は大学院出身者の4~5割程度にとどまっています。 私自身は、前回も書いたように、大学卒業後、司法書士の資格を取って司法書士事務所に勤めていましたが、やっぱり弁護士になりたいと一念発起して司法試験の勉強を始めました。24歳のころのことです。 でもこのとき、今の制度みたいに、司法試験を受けるにも大学院に2~3年行かないといけなかったとしたら、そういった方針転換をしたかは疑問です。 私が司法試験予備校での講師の仕事を始めた平成14年のころは、受講生にも30歳前後の方や、またはそれ以上の年齢の人など、「一念発起型」と思われる人がチラホラとおられました。 最近のクラスは若い方が多いです。もちろん、若い人が早い段階から進路を見定めて、司法試験を目指して勉強することはよいことです。 でもその一方で、大学を出てある程度の経験をした人が、一念発起して法曹を目指すには、あまりにも面倒な制度になってしまったということです。 制度が変わってしまったので、今さらこれを論じてもどうなるものでもないかも知れませんが、もう少しだけ続くと思います。この話。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/07/18 07:29:21 AM
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