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カテゴリ:判例、事件
外国人力士の若ノ鵬が相撲協会を解雇されたことについて先日書きましたが、その若ノ鵬が相撲での「八百長」を裁判で証言すると、記者会見で述べたとか。
週刊現代の「八百長」記事については読んでいませんが、朝青龍らの相撲において、カネで白星を買う(相手にカネを渡して負けてもらう)ということが行われているとの内容らしい。 これに対して日本相撲協会と朝青龍ら上位力士が、週刊現代を出版する講談社に対し、名誉毀損を理由にして損害賠償を払えと訴えている民事裁判が東京地裁で行われています。 若ノ鵬は、講談社側の証人として法廷に出ることを意思表明したわけです。 記者会見の様子はテレビや新聞各紙で報道されていました。 私はそれを見て、「節操のない外人だ」「大麻やってた人間に相撲協会の改善とか外国人力士の名誉とか言われたくない」と正直なところ感じたのですが、いちおう弁護士としてこの事態を客観的に解説したいと思います。 若ノ鵬は、相撲協会から被告として訴えられている講談社側の証人となると言いました。 名誉毀損で訴えられたときの被告の反論方法として(以前にも書いたと思いますが)、 その事柄が「公共の利害に関することで、報道が公益目的であり、真実であること」の証明がされたときは、その責任を免れます。 日本相撲協会は公益目的の財団法人であり、相撲は日本の国技でもあるので、その内部問題に関する報道である以上、「公共の利害」「公益目的」の点はOKだと言える。 あとは、八百長が「真実」であると証明できるかどうかが問題の中心となる。 もっとも、「真実」であると立証するのは極めて困難である(真実は神のみぞ知る)ので、「『証拠』に照らせばある程度は真実と見られてもやむをえない」程度のことが証明できればよいとされています。 若ノ鵬は、その「証拠」(証人)として出廷しようというわけですが、裁判はあくまで「相撲協会プラス上位力士 VS 講談社」の間のものであって、若ノ鵬は部外者です。 証人となるには、裁判長の許可が要る。 おそらく講談社側の弁護士は、次回の口頭弁論の際にその許可を申請するのでしょう。 ただ、幕内とはいえ下っ端の若ノ鵬が、「ワタシ、お金もらいました」と証言したとして、この裁判での争点(上位力士が八百長していたか否か)にどこまで関係があるかは疑問です。 ということで、若ノ鵬の証人尋問が実際に行われるのかどうかは、まだまだ微妙なところだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/09/30 08:49:51 AM
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