テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:留学記・留学関連の話
1つ前の記事の続きで、留学時代1年目の思い出です。 論文計画書の下準備のため、ある土曜日私は街の本屋さん3軒に向かいました。 本屋さんに 「映画の字幕か吹き替えについて書かれた本を探しているんですけど」 と伝えると 「は?」 という反応が戻ってきます。 もしも日本の本屋さんで同じ事を言ったなら、とりあえず戸田奈津子さんの「字幕の中に人生」などを勧められる気がします。 ・・・が、こちらでは字幕や吹き替えについて堂々と書かれた本はないのでしょうか? どこの本屋の店員さんも私の要望を聞くと不思議そうな顔をするし、映画コーナーを探してみてくれても1冊しか見つかりませんでした。 それが、上の写真の本です。 これは吹き替えや、撮影後の音声処理のテクニックについて説明してくれるものなのですが、フィルムとフィルムがおしゃべり(交信?)している表紙がなんとも可愛いと思いませんか? この本はかなり真面目で、中には写真はあってもこういった絵は一切ないので、なぜこの表紙なのか不思議といえば不思議です。 本屋さんで1冊しか参考文献が見つからないのを見て、「調べ物は自分の足でしたい」と思っている私もさすがにこれはマズイなぁと感じました。 自分に欠けている知識をまずは本で補う必要があるし、数人の見知らぬ教授に送らなくてはいけない「論文計画書」にも幾つかの「参考文献」を書かない訳にはいかないのに・・・。 (面識のない方に論文指導を引き受けてもらうには、「この人の計画は面白そう」と思わせるだけでなく「この調子なら書けそうだな」と納得してもらう必要もあるので。) 「ここならどうにかなるかな~?」 と思いながら、本だけでなく論文も探そうと大学の図書館に向かいました。 それまでの私の大学図書館の用途といえばコピー機を使うか(クラスメートのノートを借りた時など)、自習コーナーに座って勉強するか、それとも映画ビデオを借りるかしかなかったのだけど・・・そして常々 「せっかく留学したけど、図書館の本や資料を活用しないうちはまだ本当の学問じゃないよね」 と思っていたのだけど・・・ついに、その時がやってきた感じ (注:今だからこの部分にハートマークをつけちゃいますが、別に当時ウキウキしていた訳ではありません。念のため。) やっぱり本は見つからなかったけど、過去に2人の学生がフランスの大学で映画の字幕や吹き替えについての論文を書いていた事が分かりました。 それらはミクロフィッシュという機能で保存されていたので早速その見方を教えてもらい(論文の1ページ1ページがスライドの様なものに焼き付けられています)、論文に軽く目を通す私。 2つある論文のうち1つは字幕と吹き替えの両方について書かれたもの、もう1つは吹き替えのみを扱ったものでした。 そしてどちらも題材としては、英語圏の映画を取り上げています。 すぐに読みきれる量ではないしその頃の私には後期試験の準備も控えていたので、自分に役立ちそうなページのみを印刷して図書館を後にしました。 「その気になれば『字幕と吹き替え』で論文は書けそうだな」 という安堵感と 「まだ『日本映画の』字幕と吹き替えについては誰も書いていないんだな」 という、もう1つの安堵感を胸に。 そう、私はまだ誰も扱ったことのないテーマで論文を書きたかったのだから。 もちろんその一方で、とても臆病な私には前例が無いテーマを論文の軸に据えるのが無謀な賭けに見えて、とても怖くもあったのですが・・・。 投票(をクリック)していただけると嬉しいです。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.02.08 08:43:23
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