カテゴリ:他愛もないことだけど、大切なこと
オフィスを出ると、薄闇が完全な暗闇へと向かって刻々と光を失っていました。 西の空の一隅がほのかに白んでいますけれど、頭上は深いふかい海の底のように見えます。 自宅にたどり着く頃には、真っ暗になってしまうでしょう。 電柱や通行人にぶつからないように、とぼりとぼりゆっくりと歩き始めました。 こうして一人心許なく歩いていると、もっと強く、もっと賢くならなくちゃいけないなぁと思います。 限られた目と耳の力で状況を判断し、勇気を振り絞って足を前へ踏み出さなければならないのですから。 そのことを思うと、一人旅に出るということは、わたしにとって本当に必要なことなのだと分かります。 どこかへ移動するにしても、何かを買うにしても、すべて自分一人で意を決し、行動しなければなりません。 例えばバスに乗る時には、時刻表を自分の目で確認し、運賃も自分で支払わなければなりません。 そんなことは当たり前だろと言われそうなのですが、わたしにとってはけっこう難儀なことなのです。 バス停に掲示してある時刻表の文字はルーペをかざして拡大しないと見えないし、車内の電光掲示板に表示されている運賃は、よほど近づかない限りは見えません。 特に見知らぬ土地でバスに乗る時に困るのは、後払いなのか先払いなのかということです。 突然先払いだと言われても、財布から小銭を探し出すのに骨が折れるので、そういう時は諦めて運転手さんに事情を話し、千円札でも渡して支払いを代行してもらうしかありません。 カフェでコーヒーをテイクアウトするのも、頭を使わなければなりません。 カウンターの奥に掲げられているメニュー表も、カウンター上に敷かれているメニュー表も、字が小さくてよく見えないのですね。 だから、注文カウンターへ向かう前に、店先に据えられた看板に記されているメニュー表に顔をグッと寄せて確認してから、店の中へ入ることにしています。 あるいはバスの時と同じように、最初から店員さんに目が悪いことを打ち明けて、メニューを教えてもらうのがいいのでしょう。 いずれにしても、一人旅へ出たなら、目の前に現れる問題は、すべて自分一人で解決していかなければなりません。 普段なら、上に書いたようなわたしが苦手とする部分の多くを、妻が手助けしてくれています。 妻もわたしの性質を理解して、とても自然に肩代わりしてくれます。 だから一人旅へ出ると、普段いかに妻に助けられているのかを実感することになります。 見えにくいものを代わりに見てくれるとか、話しづらい相手と代わりに話をしてくれるとか、とてもささやかなことなのですけれど、その助けがなくなることでわたしは膨大なエネルギーを消費しなければならなくなります。 そんな事情があって、一人旅へ出るということは、わたしにとって要らぬ労苦を背負いに出かけることに等しいのです。 しかしだからこそ、一人旅へ出なければならないのだと思います。 いつもいつも誰かに寄りかかって暮らす日常から離れ、自分の問題は自分で解決していく状況へと、自分自身を放り込むのです。 困ったなら勇気を持って誰かに助けを請うなり、自分の頭を働かせてやり過ごすなり、すべてを自分で仕上げていくのです。 そういう積み重ねが、日常のわたしの歩みを、力強いものにしてくれるはずです。 一人の人間として自立するために、もっと強く、もっと賢くなりたい。 そんなことを願いながら、宵闇の道を歩きました。 今日も好い一日でした。 ありがとうございました!! 【三文日記】 20時50分現在、プロ野球クライマックスシリーズ第2ステージは、楽天が楽勝ムードなのは嬉しいのですが巨人が敗色濃厚・・・。 実戦から遠ざかっていたからなのか、巨人の選手にシーズン中の力強さがまったく感じられません。 こういう日は、早く寝てしまいましょう。 ●今日の天気 晴れ。 ●今日の運動 ジョギング30分。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/10/22 04:56:24 AM
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