カテゴリ:今、与えられていることに感謝しよう
早足で階段を駆け下り、それを助走にしてオフィスから駅までの道のりを走り抜けました。 すんでのところで電車を逃し、ブツブツとぼやきながらホームで夕風に吹かれました。 額からたらたらと汗が伝い、胸の奥から吐き気に似たものがこみ上げてきます。 次の電車に乗り込む頃には不快感はなくなりましたが、滝のような汗は一向に止まりません。 「今夜の生ビールを美味しくするためのスパイスみたいなもんさ・・・」 ハンカチで汗を拭いながら、心は勇み足でもうずっと先へと往ってしまっているようでした。 18時に後楽園駅に到着し、食べ物を買って待っていてくれた妻と合流して、そそくさと入場ゲートへ進んでいきます。 今夜はプロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズ第2ステージ 巨人 VS 中日を観戦するために、東京ドームへやって来ました。 バックネット裏よりやや三塁側、二階席の一角に腰を下ろし、可愛らしい売り子のお姉さんに挙手をして招き寄せ、さっそくプレミアムモルツを買い求めました。 ![]() 今夜は三塁側で マックナゲットを頬ばりつつ、よく冷えたプレミアムモルツをひと口すすると、カラカラに渇いていた身体に染み渡って、至福の思いが頭のてっぺんから噴出するように感じられます。 おっと生ビールに酔いしれるのもいいけれど、スコアボードをよく見てみると、そう安穏ともしてはいられないようです。 一回裏の巨人の攻撃中だったのですが、中日は早くも2点を先取していたのです。 「やれやれ。今夜も先制されたのか・・・」 早く反撃してくれよという想いを乗せて、ライトスタンドからはいつもにも増して息の合った声援がこだまします。 隣りに座っている妻も、「得点したらジャイアンツカラーのマフラータオルをみんなといっしょにぐるぐる回すんだ」と意気込んでいます。 しかし、その願いも空しく、巨人打線は中日のエース・吉見の前に沈黙し、中盤まではスコアボードにゼロが並びました。 その間、巨人先発の高橋尚成はピンチを招きながらもよく粘り、相手の主軸を三振で切っていきます。 後々になってみれば、この粘りが奏功したと思い知ることになるのですけれど。 オレンジ色のマフラータオルの出番がようやくやって来たのは、6回裏でした。 二番からの好打順もあっさりツーアウトとなり、嫌な気配が益々濃厚になりかけたその時、四番ラミレスが右中間スタンドにソロホームランを放ちました! バッターボックスのラミレスを双眼鏡で覗いていたのですが、確かに美しいフォームで打ち返したのが分かりました。 場内が一瞬にして沸き立ち、みなその場に立ち上がってしまうので前がよく見えないのですが、とにかく眼前でオレンジ色が踊っています。 「よっしゃ! やっと反撃ののろしが上がったぞ!」 東京ドームに押せ押せムードが充満し、まだざわめきが残る中、なんと続く五番・亀井にも会心の当たりが出ます。 打った瞬間にそれだと分かる美しい軌跡を描いて、打球はライトスタンドに突き刺さりました! 場内はさっき以上に轟然となり、ダイアモンドを回る亀井へ向かって祝福を送ります。 ![]() 沸き立つ東京ドーム 「なんとなんと、ソロホームラン2発で同点に追いつくなんて・・・巨人らしいじゃないか!」 その回の攻撃が終了して巨人ナインが守備位置へ向かうと、ファンは惜しみない拍手で迎えました。 ところが、取った後こそぴしゃりと締めたかったのですけれど、そううまくも行きません。 中日は代打・井上のヒットを足がかりに再び2点を挙げ、巨人はまたもや劣勢となりました。 初回に先制され、追いついた直後に再び突き放され、巨人はどうしても中日をリードすることができません。 「この2点は痛いなぁ・・・」 7回表、正直なところ、今夜の展開からいって敗北を予感しました。 昨年から数えて東京ドームで巨人戦を観戦するのはもう三~四回目だと思うのですけれど、実は一度も負け試合を目にしていません。 我が家では、ささやかな不敗神話が出来上がりつつあったのです。 「しかし、それも今日で立ち消えてしまうかも知れない・・・」 そんな思いを密かに抱え、終盤のゲームを見守りました。 そして迎えた8回裏の巨人の攻撃、神話は完成へと向けて、また一つエピソードを加えることになります。 中日のストッパー・浅尾が先頭打者・坂本に許したフォアボールをきっかけに、巨人が好機を作ります。 しかし、ノーアウト一・二塁で小笠原、ラミレスが倒れ、ツーアウト二・三塁となって迎えたバッターは亀井。 放った打球は強烈なスピンがかかって名手・井端のファンブルを誘い、一点を返します。 続く豊田のところで代打・脇谷が登場し、ファンの声援は最高潮に達しました。 汗を握る手で双眼鏡を覗き込み、バッターボックスの脇谷を見つめます。 そして・・・。 綺麗なフォームで振り抜かれた打球は右中間を破り、ファンは「おっ~!」と何かを予感し身を乗り出しました。 目が悪いわたしには打球を追うことはできなかったのですけれど、ぐらりと揺れた東京ドームが何もかもを教えてくれました。 眼下の観客は総立ちで、言葉にならない悲鳴にも似た歓声がうなり、耳がおかしくなったみたいに響きます。 走者二人が生還して巨人に五点目が入り、この試合初めて中日をリードしました。 「あぁ、信じられない! さっきまで負けを覚悟していたのに、次の回を抑えれば勝利だなんて!」 オーロラビジョンにはパ・リーグの試合結果が表示され、楽天が勝利したことを確認し、場内には再び拍手が沸き起こります。 わたしはもちろん楽天を応援していますけれど、どうやら場内の大半が同じようですね。 9回表は当然クルーンが登場し、ファンは拍手を捧げて思いを託します。 中日の先頭打者は代打・立浪。 敵とは言え、中日を引っ張り続けた猛者の雄姿をこの目にできて、嬉しくなりました。 立て続けにボール三つとクルーンらしい投球に肝を冷やしましたが、立浪が打ち上げてくれて助かりました。 アウトを一つもらって落ち着いたのか、クルーンは後続の打者を難なくしとめ、巨人が日本シリーズ出場に王手をかけました。 ![]() 勝利! 殊勲打を放った脇谷選手のヒーローインタビューを見届け、人の濁流に飲み込まれつつ家路につきました。 ![]() ヒーローインタビューを受ける脇谷選手 満ち足りた気分で金曜日の夜を迎えられたことに、感謝します。 ありがとうございました!! 【三文日記】 11/23(月・祝)に開催されるジャイアンツファンフェスタ2009の入場引換券が当たりました。 サイン会や選手との記念撮影などいくつかイベントがあって、どれに参加しようか迷っています。 東京ドームのフィールドに入るのが楽しみです。 ●今日の天気 くもり時々晴れ。 ●今日の運動 お休み。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/10/24 09:10:53 AM
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