目と耳が悪いビジネスマンの一筆

2010/07/06(火)07:06

蒸し暑い 夕暮れの道を 駆け抜けて

ジョギングとは、自己と世界と対話すること(88)

夕刻のにわか雨が街の人々を屋根の下に閉じ込めてしまったようで、河原に人影はありませんでした。 雨はほとんど止んで、西のほうはほんのりと夕陽の前触れが漏れ出しています。 遊歩道はところどころに大きな水たまりを浮かべ、精彩を欠いた真っ白な空を鏡のように映しています。 雨水を吸い込んだ土は踏みおろす足裏を寛容に受け止めるとともに、次の一歩を優しく誘ってくれます。 いつもなら数え切れないほどの犬とその飼い主たちが散歩してにぎわっているのに、まるで時間が止まってしまったみたいに静まり返っていました。 羽を畳んで気ままな足取りで目の前を横切っていくムクドリだけが、かろうじて世界がどこにも留まってはいないことを教えてくれます。 辺りには湿り気をたっぷりと含んだ熱い空気が横たわり、いくら空気を吸い込んでも息苦しく感じられます。 今年の梅雨は気温が高く、熱帯雨林のなかにいるような日々が続いています。 そこにはトロピカルフルーツの芳しい香りの替わりに、もっと個性に富んだ匂いが充満しています。 刈り取られた芝草が宙に放った青っぽい匂い、甘辛醤油でことこと煮込んだ美味そうな匂い、排水溝から湧き上がってくる鼻が折れてしまいそうな匂い、どこかの浴室から漏れ出した清潔なしゃぼんの匂い・・・。 河原で、あるいは付近の住宅街の路地で、薄闇に溶け込んだそれらの匂いが意識を捉えてハッとさせられます。 いつもと同じ道なのに、今日は格別に嗅覚が刺激されるようです。 湿った空気が匂いを運んでくれるのか、それともわたし自身に変化があるのか・・・。 そんなことを考えながらも決して足取りを緩めることはなく、汗なのか水蒸気なのか分からない雫を肌に湛えて走りつづけます。 一日デスクワークをして滞った血液が全身を駆け巡ることを想像しながら腹から大きく息を吐き出し、そしてまた吸い込みます。 たしかに清々しいとは言えない気候だけれど、そんな中でもわたしの心身はそこにあるべき循環を取り戻し、言葉にならない快感を覚えています。 それは、今日どこかで抱え込んできてしまった歓迎しかねる邪なものを払い清めるための、お払いのような儀式に近いような気がします。 すっかりとなじんでしまった走るという行為を喜び、心から感謝したい気持ちになりました。 ありがとうございました!! 【三文日記】 旅行会社から、ヨーロッパ旅行の日程表が送られてきました。 幸運にも往きはフランクフルトへの直行便で、到着してから同地を散策する時間が十分に取れそうです。 早朝に成田空港へ移動するための手段など、かなり具体的に予定が決まりそうです。 ●今日の天気 くもり時々雨。 ●今日の運動 ジョギング30分。

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