■成功するサーバ仮想化 (パネルディスカッション)
~仮想化技術の有効活用法~
仮想化技術株式会社 宮原さん
はてな 田中慎司さん
カシオ情報サービス 山崎一泰さん
1、自己紹介&仮想化導入経緯
はてな 田中さん
-1000万ユーザ程度のWEBサービスで利用
500台のサーバを仮想化して1000ホストほどに見せている。
-24h365
-基本的には同一構成 (10~100)
-Xenを利用
カシオ情報サービス 山崎さん
-2002年3月期赤字になったときが仮想化への転換期
-Office環境改革
・その中の1つでサーバ統合を行った。
-メインフレームを利用していた人間からすると仮想化の技術は馴染み深い。
2、会場メンバーへの質問
-オープンソースを導入している方
・意外と少ない。
・会社が許さないわけではない。
-仮想化を利用している方
・少ない
-仮想化を検討している方
・かなり多い
3、仮想化を検討した理由
-カシオ
・3つの戦略軸
1、統合化・標準化(ガバナンス強化)
2、新技術の連携で他社との差別化
3、業務改革を主導的に仕掛ける
・ベースとなる考え方
<部分最適から全体最適へ>
・2002年の赤時期にスリム化のため仮想化を検討した
-インフラ設計、運用まで個別最適化
-高コスト構造
-サーバが1000台以上に増殖
-大量の余剰リソースが発生
-ライフサイクルギャップによるハードのサポート切れ
→1000台を500台に統合し、コスト40%削減
→消費電力の削減 年間75万KW削減
→運用の標準化、セキュリティレベルの統一・向上
→これらを実施するためには、ブレードへの統合では意味が無いので、仮想化を採用した。
1、非仮想化
-大規模、ミッションクリティカル
2、仮想化
-VMware ・・・レガシーなOSなど
-Xen ・・・・インフラ系サーバ中心
3、大容量ストレージ
-大容量NASを利用
仮想化した結果
-コスト削減効果(40%減)
-運用効率化(一元化)
-セキュリティ強化(事務フロアーからマシンルームへ)
-インフラ環境変化への対応力アップ(サーバ調達リードタイム短縮、柔軟性の向上)
-消費電力削減(75万KW削減見込み)
-はてな
<2007年夏から仮想化を検討し始めた。>
ピーク時のCPU使用率が40%程度だったものが、70%~80%まで上がっている。
2008年の1年間をかけて仮想化を進めた。
OSSしか選択肢としてなかった、OpensVZ or Xenであったが、ハイパーバイザーを採用しているXenの方が効率的だった。
メモリーにデータを載せてサービスしたいアプリケーションが多かったため、余剰分を利用した際に、他ホストへの影響が出にくいものがよかった。
→OpenVZは、高いレイヤーで仮想化しているため、採用せず
→Xenは、低いレイヤーで仮想化するため、他ホストで利用しているメモリーへの影響を抑えれる。
ex) DBサーバでは、16GBのメモリーを利用して、残り2GBを別のWEBサーバなどに利用するなど。
4、なぜVMwareからXenに?(カシオ)
-当時VMwareしかなかった。
→コスト削減効果が低かった。(ソフトウェア価格が高かった。ストレージも指定があり高かった。)
-2006年後半にXenでもWindowsが動くようになった。
→しかし、性能面で使用に耐えなかった。
-2007年前半にXenが統合されたSUSEがリリースされた
→採用を決定(2007年5月)
1、MSWINDOWSの動作保障
2、低価格
3、ストレージも低価格
4、高パフォーマンス
5、Xenってどうなの?
-はてな
・Xen3.0を評価した結果、数%の性能劣化ですんでいた。
-カシオ
・CLI慣れしていれば使い勝手は問題ない
・大きな問題は起こっていない。
・性能に関しても、VMWAREと遜色なし。
1、互換性は高い
2、信頼性も問題ない
3、性能(オーバーヘッド)は、10%程度だった。
4、機能面は、DBも問題なかった。
6、サポートは大丈夫だったの?
-カシオ
・OSSだからといってもコミュニティに聞けるので問題なかった。
・有償だからといって、いいサポートを受けられるわけではないので、あまり違和感は無かった。
7、Xenへ切り替える臨界点は?
-はてな
・非クリティカル処理が多い
・物理HWとして使うものに比べると信頼性が低い
・1年に2,3回Xenに起因する問題は起こっている。(リブートなど)
→ネットワークブリッジのところで無反応になる現象
・数ヶ月は安定して動くが、年単位で安定するわけではない。
・HWをそのまま使っていれば、数年動くのが普通だが、Xenの場合ある程度落ちるのを覚悟する。
・Xenは、中途半端に落ちることが無い。きれいに落ちてくれるので、逆に使いやすい。
・この辺が採用した理由。
8、Xenを適用する範囲は増えますか?
-宮原さん
・DBサーバは、仮想化しないことが多かったが、最近は、3層すべて仮想化してしまうことが増えてきている。
・HAのクラスターを使えるようになったため。
-カシオ
・Oracleのライセンスが高いので、DBの種類・用途に合わせて仮想化したDBも採用を始めている。
→2008年ごろから。
・VMWAREかXenか、となると、どのレイヤーで使うかにあわせて変わると思っている。
→基本的な性能、機能に関しては同等
→HAなどに関しては、VMWAREの方が若干の強みがある。
9、仮想化してよかったことは?
-はてな
・マイグレーションがしやすくなった。
・仮想化領域は10GB程度しか割り当ててないので、ddなどで領域ごとコピーできるのは楽。
・WEBサービスの性質上、バグフィックスのリリースが毎日のように発生するが、リリースに問題があり暴走した場合にとめやすい。
・夜中の暴走なども、ホストOS側で検地する仕組みと再起動する仕組みを持つことで、自動対応できる仕組みが作れた。
・ハードウェアを購入するときに、用途に合わせて購入していたが、仮想化を利用するようになってから、安いものをたくさん購入しておく対応ができるようになってきた。
-カシオ
・可搬性、柔軟性が高い。
・スナップショットの機能が便利
・パッチあての前に、スナップショットを作成し、気楽にパッチ当てができるようになった。
・コスト的に冗長できていなかったシステムでも、低コストで冗長することができる。
-宮原さん
・新しい機器で、レガシーOSの対応を気にする必要が無くなった。
10、リソース利用率はどう?
-はてな
・30%~40%程度から60%~80%程度まで向上した
-カシオ
・部門のサービスだと10%程度から50%~60%まで向上した
→マイグレーションのために、60%を上限としている。
11、トラブルは?
-はてな
・ネットワークブリッジがたまに反応しなくなる。
-カシオ
・特に記憶が無い。
・Xenに関しては、ネットワークを束ねてブリッジしていると反応しなくなる問題はあった
→パッチを当てたら出なくなった。
12、現状どの程度ゲストを動かしてる?
-はてな
・1ホストに2~4つ(平均1.5)
・物理メモリ 8GB搭載している。
・I/Oを発生させないようにしている。
・ストレージは基本的に利用していない。
-カシオ
・1ホストにどの程度乗せるかは決めていない。
・リソースの空き情報を見て、動かしている。
-宮原さん
・CPUコア数が多い、メモリー価格が安くなってきている。
13、なぜそのディストリビューションを採用したのか?
-カシオ
・SUSEは、サポートしているベンダーが多かった。
-はてな
・CentOS Xenを利用した理由は、元々RedHat系で作りこんできていたので、CentOSを採用している。
・操作性や、問題を感じたことが無いので、特に意識していない。
・基本的に標準パッケージ
-宮原さん
・XenSourceから持ってきたものをインストールしている。
・CitrixXenServerを進めるときは、簡単にいじらず利用する場合
・自分たちでいろいろ作りこみたい場合は、LinuxベースのSUSEを進めている。
14、KVMはどう?(RedHatは、XenをやめてKVMに向いている)
-はてな
・これから調査を進める。
・今後そちらに向かっていくと思っている。
・Kernelに取り込まれているので、親和性は高いと思っている。
・将来的には移行する予定。
-カシオ
・特に検討していない。
-宮原さん
・様子見
・I/Oパフォーマンスが不透明
・1年後ぐらいにいろいろ見えてくる。
15、今後の方針および、皆さんへのアドバイス
-はてな
・個人的な印象として、仮想化技術は成熟している。
・IO周りも問題なくなってきている。
・仮想化のカンファレンスとして人が集まらなくなる。
・後は枯れていくのをどう見るか。
・管理ツールの成熟が見込める。
-カシオ
・現在、仮想化に取り組んでいる。
・次のフェーズは社内クラウド
・VMWareとXenの共存環境を再検討していく。
・DRの検討(仮想化を利用して縮退運用の環境を検討)
16、まとめ
-宮原さん
・ハイパーバイザーに関しては、問題ないレベルに来てる。
・安易にサーバができるようになるので、統合監視が必要になっていく。
・ストレージがネック(ストレージを利用すると、そこに障害が起こった場合、すべてとまってしまう。)