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2002年08月18日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 8月12日の日記を未読の方は、そちらを最初にお読みいただいたほうがいいかもしれない。
 次の文章は、筒井康隆のある短編小説の冒頭部分である。

 * * * * *

 美女の大便はでかい、という記事を読んで益夫は猛烈な衝撃を受けた。
 記事、といっても二流週刊誌のカラー・ページの記事であるから、嘘か本当かよくわからない。たいてい嘘であろう。
 だが、それにしてもその記事はよくできていた。つまり、読者をなるほどと思わせる説得力を持っていたのである。
 書いているのは医学博士、心理学教授の肩書きを持つ大心地伝三郎という人で、益夫は高校三年生ながらも肩書きや地位にはまどわされない常識を持っているから、最初は話半分に読んでいたのだが、だんだん夢中になってその理屈にひきずりこまれてしまった。
 その理屈というのは、こうである。
 なぜ美女の大便がでかいかというと、それは、その女が美人あればあるほど肛門の括約筋の伸び率が大きいからである。では、なぜ美女の肛門が大きく開くか。それは美女におけるナルチシズムと自己顕示欲というふたつの心理が肛門に及んだ結果である。
 ナルチシズムはリビドーを肛門愛の段階にとどめる。だから「あなたは美人ね」と人から言われたり、「わたしって、なんて綺麗なんでしょう」と思ったりするたびに、彼女の尻の穴はだらりと大きく開いてしまうのである。
 また、美女は、美女であればあるほど他人の眼を気にし、体面を重んじる。表情や行動に自己規制をあたえねばならないわけであるが、そのため緊張が続く。表情や行動に緊張があたえられた場合、その皺寄せは他人の眼に触れぬ場所へあらわれる。すなわち肛門括約筋が弛緩する。つまり尻の穴が開くのである。
 尻の穴が開きっぱなしであれば、これは少しの圧力で当然驚くべき大きさの大便が出るのである。したがって美女の大便はでかいのである。
 これが大心地博士の理論だった。
 読み終わり、益夫は考えこんでしまった。
 益夫にはすばらしい美人のガール・フレンドがいる。高校の同級生で、しのぶちゃんという可愛い女の子なのである。してみると、あのつぶらな瞳にえくぼの愛らしい白百合の如きしのぶちゃんも、あっと驚く巨大大便の生産者なのであろうか。

 * * * * *

 この理屈には、男性の非常に勝手な思い込みが入っているように思えるが、それについては本題ではないので、ここでは触れないことにする。
 さて、私は日常生活の中で、時々この理屈を思い出す。
 どんな時かというと、例えば会社にいて、人気のない物品庫に行ったり、誰も乗っていないエレベーターに乗ったりした時だ。

 そんな時は、どういうわけか屁が出ることがある。決して腸にガスが溜まりやすいタイプではないのだが。皆さんも経験あるでしょ?
 やはり、周囲に人がいる状況から、いない状況に変化したという心理が肛門に及んだ結果なのだろうか?
 
 放屁しても、無臭なら何も問題はない。その場合は、放屁したこと自体を意識しないことも珍しくない。問題は、臭い付きのものが出てしまった時だ。その瞬間、自分が放屁したことを初めて認識する。そんな時は、その場に誰も来ないことをひたすら祈るしかないのだが、不思議なことに、そういう時に限って誰かがアホづらこいて入ってくる。いや、そういう場に入って来る人間がすべてアホづらに見えるというべきか。
 幸いなことに、これまでは臭いの強度がかなり緩和してからのことがほとんどであり、今のところ、「あいつは屁ッタレだ」というレッテルは貼られていない(厳密な調査の結果、そう判明した。がーわ!)。

 物品庫の場合なら、放屁した直後にその場を速やかに離れるという手があるが、エレベーターの場合は、そう簡単にはいかない。例え、直近の階でエレベーターを止めて降りるとしても、その階で誰かが乗り込んで来たら、「あいつ、屁ぇこいて逃げやがった」と思われるのがオチだ。それでも、そう思われても構わない相手なら不幸中の幸いと言える。
 もし、うら若き女性が乗り込んで来たら、乗り慣れたエレベーターが一瞬のうちに修羅場と化すことになる。
 運がいいのか、これまでに、そのような状況になったことがないが、もし、そうなった場合はどうするか。
 「うわあーーーーっ!た、頼む!乗らないでくれぇーーーーっ!」と絶叫してエレベーターのドアを閉じるしかないだろう。「変な人」と思われるだろうが、後で事情を説明して納得してもらうしかない。

 このように考えると、「油断一秒 屁が一所」という言葉が重みを帯びてくる。人気のないところでも気を抜かないか、気を抜いても肛門括約筋が弛緩しないように訓練するか。 
 あるいは、屁ッタレのレッテルを貼られても微動だにしない図太さを身に付けるという生き方もあるか。

 いずれにしても、心理と肛門括約筋との関係は奥が深いと言えよう。


 ただ今のBGM:
  Harry Allenのアルバム「Once Upon A Summertime」







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最終更新日  2002年08月24日 23時03分40秒


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