苦しいね
Mさんのお母さんが入院して久しくなります。Mさんはお母さんが入院してから、病院とのやり取りに苦労されていました。
看護士さんの言葉一つで「容態」について悪く考えることもありました。入院してからも医師から直接話が訊けないこともあり、不安はつのりました。
Mさんは看護士たちに声を荒げて「患者やその家族の不安や立場」を訴えもしました。すると病院側も以前よりは多少対応が違ってきました。
そして最近看護士から、
「私たちで出来る事があれば何でもします」
と言われました。
耳を疑いました。なんて温かい言葉を掛けてくれるんだろうかと、Mさんは気持ちがあたたかくなりました。
しかし、それはMさんの聞き違いであることに気付きました。
正確には「私たちで出来る事はもうありません」と言われたのでした。
Mさんは苦笑しました。
だんだん痩せていくお母さんを見て、自分がそんな気のきいた言葉を期待していた自分に苦笑したのでした。
電話でこのことを話すMさんは、時折言葉を詰まらせていました。どんなに追い込まれても子どもにとって母はひとりです。あきらめられないのは子どもとして当然です。
現実は苦しいです。
2005年10月6日記