Kさんの死…
そして夫婦愛
第755回
今日の午前11時過ぎにKさんが亡くなられました。
ずいぶん長く病気と闘っておられました。でも一週間前には持ち直すのではないかと誰もがそう思っていました。Kさんは昨日から少しずつ体調が落ちてきて、ついに息を引き取られました。享年82歳でした。
奥さんや息子さん、娘さんから温かい看護をうけ、Kさんは穏やかに息を引き取られました。
娘さんのお話ではKさんはとても頑固で、曲ったことが大嫌いなおとうさんだったそうです。私たちにはいつもニコニコしてくれていましたが、怒ると恐いお父さんだとも言っていました。
「父はいつも母に我がままを言っていたけど、どんな時でも母はハイハイと言って父に従っていました。どうしてそんなに母は父の言うことをきくのかしらと思っていました」
と、以前、娘さんが言っていたことを思い出しました。
私はその疑問の回答を見つけました。
ご焼香に参上して、お父さんの安らかに眠る顔を拝見しました。そしてその傍には金婚式(結婚五十年目の祝い)に温泉に行ったときのご夫婦の写真がありました。
その写真がおふたりのすべてを語っていました。おふたりは愛して愛して愛し合っていたのでしょう。おふたりはとてもしあわせそうに微笑みを浮べて写っていました。
だからお父さんの我がままとお母さんのハイハイは、おふたりにしかわからない信頼によって許された愛の行為だったのでしょう。
愛している夫婦だけがわかることだったのでしょう。そんなKさん夫婦が羨ましいです。
Kさん、安らかにお眠りください。
合掌
2005年11月26日記